「タクシーの仕事が最後の砦」地方運転手の本音 流転タクシー第9回、姫路のベテランが語る実情

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「悪質な業者だと代行なのに、タクシー輸送する奴らもおるからタチが悪い。この町で飲んでいてお店から声掛けられるのは、『タクシー呼ぼか』ではなく、『代行呼ぼか』やから。

だいたいの店に代行業者の張り紙貼ってるくらいで、形態が違うはずやのに棲み分けも曖昧なわけ。違法業者も多く、水上げ(売り上げ)にも直結するから会社も目を光らせているけど、なかなかバレへん。

白タク(無許可営業)や介護・福祉タクシーが増えたのも同じ。需要が少ない中で供給過多になり、料金面での競争も激しい。ホンマにこれだけの台数が必要なんかな、て常々思いますわ」(水田さん)

2種免許さえあれば誰でもできる

少し話はそれるが、サラリーマンの傍らで運転代行を副業とする、市内に住む知人がいる。運転代行の現状と始めたその経緯を訊ねた。

「2種免許さえあれば誰でもできるのがこの仕事。仕事が限られる地方だと、一部を除けば給料は安いし、家族を食わせるための苦肉の策でもあった。店からの直接依頼を受けたり、お客さんが指名してくれるようになればその分だけ実入りもいいし、副業としては充分な収入となる」

前出のタクシー会社幹部は、以下のように嘆く。

「県全体でも明らかに供給過多で、田舎にいくほどバランスが取れているとは言い難い。運転手の歩合が都市部であれば60%以上であるところに対して、兵庫だと50%以下ということも多い。無線配車などで会社に頼らないと個々の努力で売り上げを立てることが難しい」

職を転々としてきた水田さんにとって、タクシーは最も長く続いている職種となった。その理由を問うと、こんな答えが返ってきた。

「昔ワルさばっかりしてきて、同級生はヤクザになったり、魚町で用心棒みたいなことしてる奴も多いよ。同業の中でも、元不良はようけおる。要は縦横の繋がりですべてやってきた面があって、それだけ上下関係が厳しい地域でもあるんやけど、タクシーやと個人商店みたいなもんでそういう堅苦しさがないわけ。

タクシーは地域によっては稼げると思うけど、少なくとも西播(西播磨地域)やと流れ者が行く着く先ではあると個人的には思う。トラックや鳶職やっていたときと比べたら、収入はピークの3分の1くらい。先細りしていくやろうけど、それでもエエかな、と思とるから。嫁はんとも別れて、子供も成人しているからあとは自分が細々と暮らしていけるだけのお金があればええ

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