コロナで廃業決意「個人タクシー」悲痛すぎる叫び 収入は激減「国が死ねと言っているようなもの」

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コロナ禍で大打撃を受けているタクシー業界の実情に迫ります(筆者撮影、本文とは無関係です)
新型コロナウイルスの感染拡大によって、大きな打撃を受けているタクシー業界。ドライバーはどんな思いを抱えて働いているのか。東洋経済オンラインの人気連載「世相をリアルに映し出す 流転タクシー」の筆者で、その連載を基に『コロナ禍を生き抜く タクシー業界サバイバル』を上梓した栗田シメイ氏が解説する。

業界全体の営業収入は昨年対比で大幅減

新型コロナウイルスの影響が直撃したタクシー業界は、壊滅的な打撃を受けた。全国タクシー・ハイヤー連合会の緊急サンプル調査によると、タクシー業界全体における2020年3月以降の営業収入は昨年対比で20~60%強落ち込んでいる。

とくに深刻なのが乗務員達の収入だ。歩合給が基本の給与体系において、大幅な売り上げ減が彼らの生活を圧迫。都内ですら、一日3万円以下の水準に落ち込んだ時期もあった。

月収が1桁台となった明細書を見せられたこともある。中には、売り上げのノルマに達せず、収入がマイナスになったケースもあった。明日への希望が見えぬ中、閑散とした街をタクシーで走る心情は計り知れない。

さらに同団体の発表によると、タクシー運転手の平均年齢は60.1歳と超高齢化を迎えている(2018年時点)。2015年に全国34万人いたタクシー乗務員の数は、2020年には28万人と激減している。75歳がメドとされる定年を考慮すれば、2025年には24万人ほどになるという予測もある。

この傾向は地方に行くほど顕著になる。去年にはドライバー不足とコロナの二重苦により、たたき売り価格で会社を売却する例も散見された。ドライバーのなり手を確保することは、存続のための至上命題と化した。

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