働かないオジサンは「転職できない」と思い込む
自分の人生を一般論で語るな
どこの職場にもいる、「働かないオジサン」――若手社員の不満が集中する彼らは、なぜ働かなくなってしまったのか? 「どこの職場にもいる」ということは、何か構造的な問題が隠れているのではないか? ベストセラー『人事部は見ている。』の筆者が、日本の職場が抱える問題に鋭く迫る。

「辞められない」という思い込みが、あなたの行動を縛っているかもしれない。(撮影:尾形 文繁)
35歳転職限界説は本当?
昨年秋に、メーカー勤務のAさんと食事をした。Aさんは40代前半。若いときは、体育会的な営業の分野で取引先企業への製品の売り込みに邁進してきたが、大学卒業以来、20年以上にわたって同じ会社に勤めてきたので、仕事にも飽きているという。
また、器用に立ち回ることができるタイプではないためか、同期と比較して、必ずしも出世が早いほうではなく、今のポジションでは重要な仕事は与えられないと感じている。
Aさんは、本心では、もう今の会社で働き続ける気持ちにはなれないらしい。しかしその一方、転職も無理だから、しかたなく、今の会社で働き続けるのだという。
私が、Aさんに「新たな仕事を見つけられないと判断した理由はなんですか?」と聞いてみると、Aさんの口からは、「35歳転職限界説」が飛び出した。
「転職できる限界年齢は、35歳までと言われています。私はもう40歳を超えてしまった。今から転職先を探しても、どこにも雇ってはもらえません」
と言ってうつむくAさんに、実際に転職先を探してみたのかと聞くと、何もしていないという。かつて生き生きと働いていたAさんのことを知っていた私は、何かもったいない気がしたのである。
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