ミドル層の転職が活発化
最近、転職についての興味ある調査結果が発表された。
転職サイトDODA(デューダ)に掲載された、「35歳転職限界説はなぜ崩れた? 転職成功者の年齢調査」という記事は、ミドル層の転職が活発化していると指摘している。
この調査では、35歳以上の割合は23.6%と、この6年で2倍以上になり、転職者の年齢分布も「40歳以上」の割合は2.5%から9.3%、「35~40歳」も8.0%から14.3%と、大幅に増加しているというのだ。転職市場で長く語られてきた「35歳限界説」に疑問を呈した格好になっている。
まず「35歳限界説」が、なぜ語られてきたのかを考えてみよう。私の知人の再就職支援会社の支店長は、35歳という年齢が、転職の限界だと意識したことはなかったという。人事部で中途採用(経験者採用)を担当した私の立場からも、一定の年齢が上限とされる取り扱いはなかった。
ただ、企業は、中途入社した社員を評価上、どこかのポジションにセットしなくてはならない。たとえば「入社○○年目の、A~EのうちのCランクにセットする」といったことだ。
年功が重んじられる伝統的な企業で、最初の課長職、いわゆる管理職に登用され始める年齢は35歳前後なので、35歳を超えると、社内セットがやりにくいといった点はあったかもしれない。現場で働く(単に仕事ができる)ということだけではなく、管理能力も求められてくるからだ。このことから「35歳限界説」が語られたのではないだろうか。当時は、若い人が転職の中心だったことも関係していたのだろう。
そういう意味では、管理職も経験しているAさんは、年齢だけで転職が無理だと頭から決めつける必要はないのである。
ポスト削減や管理職の絞り込み
そのうえで、ミドル層の転職が活発化している背景を考えてみよう。
大きくいって2つの流れがあるのではないだろうか。ひとつは、企業のポスト削減や管理職の絞り込みである。
昨今は、成長の鈍化によって生じた組織のフラット化やスリム化が押し進められて、ポスト削減や管理職候補の絞り込みが行われている。数年の遅れはあっても、ほとんどの社員が管理職に就けた時代は過ぎ去った。むしろ管理職に昇格する社員が少数派になる時代がやってきたのである。
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