中国やオーストラリアなどに進出している大手ビール会社の人事責任者は、事業展開は、M&Aや業務提携が中心なので、語学力よりも、ストレス耐性があり、異文化に対するコミュニケーション能力がある社員を求めているという。
つまり海外でも発揮されうるマネジメント能力を欲している。そういう意味では、若いころ、きちんと仕事をこなしてきた中高年にも、新たなチャンスが生まれているのかもしれない。
総論、一般論だけで考えてはいけない。
たとえば、転職者に関する厚生労働省の調査(雇用動向調査)からみれば、2012年の転職入職者は417万人(前年392万人)。転職入職率は9.1%(同8.8%)で、前年と比べると、やや上昇したが、2005年の13.0%をピークに若干下がっている傾向にある。
この厚生労働省の統計資料と紹介した2つの転職者に関する調査との関連については、いくつかの見解が成立するだろう。しかし、ここで大切なことは、数値の整合性を検討することではない。
大切なのは、「自分の足で動き、自分で感じて、自分で考えてみる」ことである。数十万の企業があっても、自分が働く会社は1社だけだ。極めて各論、個別論の話なのであり、決して総論や一般論にしてはいけないのである。
「35歳転職限界説」を頭から信じて、自分には転職は無理だと考えるAさんは、行動が伴っていない。再就職支援の会社に足を運んでみるなど、積極的に動いてみれば、異なる現実が見えてくるかもしれない。
私は何も、「働かないオジサンになるくらいなら転職すべきだ」と言いたいわけではない。人それぞれの事情があるし、転職自体は決してリスクの低い行動ではないからだ。
ただ、サラリーマンはつい頭で物事を考えがちになる。それはある面ではプラスに働くこともあろうが、働かないオジサンになってしまうかどうかといった岐路においては、マイナスになりがちである。
以前にも述べたように、人生の後半戦の通過儀礼は、老いることや死ぬことを意識して、どのような距離感で組織と付き合っていくのかという難題である。自分自身と向き合うという、きわめて各論、個別論の対応だということを忘れてはならない。
働かないオジサンにならないポイントのひとつは、自分の人生を決して総論や一般論で語らないということである。
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