かつて、ライン管理職のポストが不足したときには、会社側は専門職制度を採用して、ライン管理職に就かなくても給与水準は確保されるような扱いが存在した。しかし昨今の状況ではそれも期待できない。
この課題は管理職の登用を控える社員だけでなく、すでに管理職として働いている社員も例外ではない。役職定年制などによる給与の減少や、役職を手放すことを覚悟しなければならないからだ。場合によっては、リストラによって退職せざるをえない場面もあるかもしれない。
こういった年功序列的な運用が難しくなっていることが、中高年の転職者を増加させているひとつの理由だと考える。
日本では、長らく転職制度の未整備が指摘されてきた。しかし、それは各会社での人材の使い方や仕事の進め方の反映だと考えたほうがいい。つまり社員の技能やスキルに重点を置くよりも、一緒に協調して働くという点にポイントが置かれているからである。
言い換えれば、個人のスキルよりも、社内での人間関係に評価のポイントがあるので、長く組織に在籍することがメリットになりがちだ。そのため既得権の少ない若手社員から転職することが多かったのである。
昨今は、会社と社員の丸抱えの関係が崩れてきたので、ミドル層の転職が活発になっているのだろう。
新たな事業展開への必要性
もうひとつは、新たな事業への取り組みである。
『アエラ』は、2014年1月下旬、国内の主要200社にアンケートを行い(114社から回答)、人材採用に対する企業の姿勢の変化が明らかになってきたと発表している。
特徴的なのは、中途採用を増やす理由である。多い順から言うと、「事業領域の拡大・変化」「即戦力になる人材が必要」「ダイバーシティ推進」などが続いたという。
経営環境の変化のスピードに追いつくためには、社内の社員のやり繰りだけでは対応が難しくなり、社外から高いスキルを持つミドル層を即戦力として受け入れる必要性が高くなっている。
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