2019年度JRA賞授賞式が1月27日に都内のホテルで行われる。毎年華やかな雰囲気の中、前年に活躍した競走馬の関係者が集まる舞台だ。
2019年度JRA賞選考委員会が1月7日に開かれ、年度代表馬にリスグラシュー(牝6、栗東・矢作芳人厩舎)が選ばれた。12月22日に中山競馬場で行われた新元号令和初のグランプリGⅠ第64回有馬記念を5馬身差で圧勝。GⅠ馬11頭の超豪華メンバーの中で頂点に立った。
現役最強馬と見られていたアーモンドアイ(牝5、美浦・国枝栄厩舎)との最初で最後の対決を制した。リスグラシューは2019年に5戦3勝。宝塚記念と有馬記念のグランプリGⅠを同一年で連勝したのは史上10頭目で牝馬では史上初めて。オーストラリアに遠征し日本調教馬として初めてコックスプレートを制覇した快挙もあった。
圧倒的多数の票を獲得したリスグラシュー
JRA賞は記者投票で決まる。中央競馬の記者クラブに通算3年以上加入し年間を通じて中央競馬を取材した記者・会友か、東京競馬新聞協会または日本競馬新聞協会に加盟する競馬専門紙各社の1社当たり5人の記者。記者クラブ加入社は一般紙やスポーツ新聞の記者、放送局のアナウンサーや取材者が対象となる。
各部門で全体の3分の1の票数を集めれば自動的に選出される。今回は274人が投票し、リスグラシューは271票を集めた。2019年は4戦2勝で国内・海外でGⅠ2勝に終わったアーモンドアイはわずかに2票。圧倒的多数でリスグラシューが選ばれた。直接対決での圧勝がものをいった。最優秀4歳上牝馬も271票を集めてのダブル受賞となった。
競走馬としてピークを迎えての引退に、管理する矢作芳人調教師は「このような栄誉ある賞をいただけて調教師として誇りに思いますし、リスグラシューに感謝しています。引退することとなり別れは寂しいですが、将来の彼女の子どもたちに期待しています。今まで応援ありがとうございました」とコメントした。
1月19日にはリスグラシューの引退式が京都競馬場で行われ、矢作調教師は声を詰まらせながら「引退はもったいないし寂しい。これだけの馬にはもう巡り合えないかもしれない」と別れを惜しみ「いい子を生んでもらって、子どもを連れて新しい京都競馬場に戻ってきたい」と新たな夢を語った。
JRA賞は現在の形になったのは1987(昭和62)年から。前身は1954(昭和29)年に競馬専門紙を発行していた啓衆社が主催した啓衆賞が最初で、1972(昭和47)年にJRAの機関誌「優駿」の主催で優駿賞に変更された。
啓衆賞は年度代表馬だけでなく優良3歳馬・3歳牝馬(現表記では2歳)、優良4歳牡馬・4歳牝馬、優良5歳上牡馬・5歳上牝馬だけでなく優良スプリンターや障害馬、アングロアラブの表彰もあり、今のカテゴリーに近い形で始まっていた。
JRA賞は競走馬の各部門のほか騎手・調教師や馬事文化の普及や発展に貢献した人・団体を表彰する馬事文化賞も含まれる。筆者は福島競馬記者クラブに所属しており、福島は4人が投票している。投票内容は投票者が非公開を希望しない場合を除いてJRAのホームページ上で公開されている。近年はネットで投票を受け付けるようになった。
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