国枝栄調教師が「3冠馬が3頭そろうなんて、そんなすごい競馬はそうあるもんじゃない。100年に1回。そうだな、『レース・オブ・センチュリー』だな」と冗談めかして語っていたのは、まだアーモンドアイ(牝5、美浦・国枝厩舎)がジャパンカップへの参戦を正式に表明する前のことだった。
今年の競馬界は、11月1日の天皇賞・秋で日本競馬最多となる芝GⅠ通算8勝目を挙げたアーモンドアイと、10月25日の菊花賞で史上3頭目の無敗の3冠馬となったコントレイル(牡3、栗東・矢作厩舎)、10月18日の秋華賞で史上初の無敗の牝馬3冠を制したデアリングタクト(牝3、栗東・杉山晴厩舎)の歴史的名馬3頭を中心に動いていた。
アーモンドアイは2018年に牝馬3冠を制している。11月29日に東京競馬場で行われるGⅠ第40回ジャパンカップ(2400m芝)には日本競馬史上初めて3頭の3冠馬が一堂に会して出走することになる。
新型コロナウイルスが世界的に脅威を与えた年に、日本の競馬は歴史的なレースを迎える。まさに100年を超える中央競馬の歴史で「レース・オブ・センチュリー」と呼べる世紀の大一番になる。
3歳クラシックのモデルはイギリス
中央競馬の3歳クラシックはイギリスのレース体系にならって作られた。3冠レースと呼ばれる「皐月賞」「日本ダービー」「菊花賞」と、牝馬限定の「桜花賞」「オークス」の5レースをクラシックと呼ぶ。「2000ギニー」「ダービー」「セントレジャー」と牝馬の「1000ギニー」「オークス」がモデルとなっている。3歳世代のチャンピオンを決める一生に一度の最も華やかな舞台と言っていい。
これに天皇賞・春、天皇賞・秋、有馬記念を加えたのが「8大競走」だ。後発だったジャパンカップや宝塚記念は含まれない。この8大競走が1984年にグレード制を導入する以前のビッグレースになる。
牡馬の3冠馬は過去8頭。1941年セントライト、1964年シンザン、1983年ミスターシービー、1984年シンボリルドルフ、1994年ナリタブライアン、2005年ディープインパクト、2011年オルフェーヴル、そして今年のコントレイルだ。
無敗の3冠馬はシンボリルドルフとディープインパクトの2頭しかいなかった。コントレイルはディープインパクト産駒で史上初の父子2代での無敗の3冠制覇の偉業を達成した。
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