期待に違わぬすばらしいレースだった。令和初となった中距離最強決定戦の伝統のGⅠ第160回天皇賞・秋(2000m芝)は10月27日、東京競馬場で16頭が出走して行われた。
史上初めてGⅠ馬10頭がそろった超豪華メンバーでもひときわ注目を集めたのはGⅠ5勝の最強牝馬アーモンドアイ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)とGⅠ2勝の3歳最強馬サートゥルナーリア(牡3、栗東・角居勝彦厩舎)の2頭だった。ともにポスト・ディープインパクトとして注目される種牡馬ロードカナロアの産駒だ。
最強牝馬の実力を見せつけたアーモンドアイ
アーモンドアイは母にエリザベス女王杯を制したフサイチパンドラ、サートゥルナーリアは母がオークスとアメリカンオークスを制したシーザリオと良血対決でもあった。両馬の主戦はクリストフ・ルメール騎手。
ルメール騎手はアーモンドアイに騎乗したが、サートゥルナーリアにはJRAの短期免許を取得して来日したクリストフ・スミヨン騎手が騎乗。両者はフランス時代にも競い合ったライバルでもある。「クリストフ対決」も話題を集めた。アーモンドアイは安田記念で3着に敗れたが、スタート直後の不利をはねのけラスト3Fは32秒4の驚異的な末脚を繰り出した。
サートゥルナーリアは神戸新聞杯で菊花賞馬ワールドプレミアや3冠でいずれも好走したヴェロックスを問題にせず、ほぼ追うところなしでラスト3F32秒3の圧巻の切れ味を発揮した。どちらが強いのか。「2強対決」で盛り上がり、東京競馬場には5年ぶりに10万人を超える大観衆が詰めかけた。
レース前の雰囲気はアーモンドアイがやや落ち着きすぎているほど。いつもよりは馬体がこぢんまり見えたのは休み明けだったためだろう。1週前追いでルメール騎手は息遣いの悪さを指摘していた。筆者には完調には見えなかった。事実、国枝調教師もレース後に「八分の仕上がり」だったことを認めている。
とはいえ馬場入りしてからの返し馬(ウォーミングアップ)では大観衆の前でも落ち着いた走りを見せてメンタルの強さを見せた。サートゥルナーリアはパドックで迫力満点の馬体を見せて、何より落ち着いていたのは好感を持てた。ダービーで見せた返し馬からの気性の難しさも見せなかった。ただ、レース直前にダービーのように首を上下させていたのは気になった。
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