最強牝馬「アーモンドアイ」がもつ圧倒的な力 天皇賞・秋は関係者も驚かせた驚がくの強さ

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トーセンジョーダンがレコードをマークした2011年は1000m通過が56秒5の超ハイペースで時計は出やすかった。今回は1000m通過が59秒0。後半驚異的なスピードを持続させなければ1分56秒2の時計にはならない。しかも、上がりが速くて差が出にくい展開で後続に3馬身の決定的な差をつけている。アーモンドアイのラスト3Fは33秒8。

メンバー最速のユーキャンスマイルは後方で脚をためて3F33秒7。好位から差し馬に匹敵する末脚を使ったのだから次元が違うというしかない。2着ダノンプレミアムに騎乗した川田将雅騎手は「やっぱりアーモンドアイは強い。この馬ならと思って挑んだが……」と脱帽した。

終わってみればアーモンドアイの独壇場。それもベストの状態でなかったのだから末恐ろしいまでの強さだ。もはや史上最強牝馬という称号に異論を挟む余地はないだろう。

ルメール騎手は「安心しました」という言葉を繰り返した。「走りたい気持ちかどうか不安があった」と振り返った。この中間は「休み明けだから」という言葉も繰り返した。直前の追い切り後に「アーモンドアイが1番強い。勝つ自信はある」と語ったものの、やはり絶好調ではない不安は感じていた。しかし、その不安は杞憂に終わった。

天皇賞3連覇を達成したルメール騎手

内から抜け出したときを「ボタンを押したら反応した」と独特の表現で振り返ると「抜け出すときはすごい速い脚。自分でも馬の上でびっくりした。あらためて彼女のポテンシャルを見せられた。特別な馬。すばらしかった」と絶賛した。「エネイブルとは走っていないからわからないけど、世界でもトップの馬。今日もGⅠ馬が10頭いてワンサイドだった」。

あらためてアーモンドアイの強さを証明し胸を張った。ルメール騎手は昨年秋のレイデオロ、今年春のフィエールマンに続いて史上3人目の天皇賞3連覇。すべて異なる馬での3連勝は史上初で「平成の最後、令和の最初で勝ててうれしい」と会心の笑みを見せた。

国枝調教師は「私自身が驚いている。もう、おっかないというか、すごいなと」とあまりの強さにあきれたような表情を見せた。

「このメンバーなのでしのぎを削るような競馬になると思ったが……。余計なことはまったくしない。メンタルがすごい。アーモンドアイはいつもわれわれが思っているさらに上を行く。まだ上があるんじゃないかと思わせてくれる」。会見での国枝調教師の言葉はレース直後の「バケモノ」につながっていく。まさに規格外の強さだろう。

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