「有馬記念」アーモンドアイ1強に死角はあるか 国内最強牝馬が年末の祭典に出走決めた背景

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2019年天皇賞・秋(GⅠ)を勝ったアーモンドアイと鞍上のクリストフ・ルメール騎手(写真:Motoo Naka/アフロ)

 いよいよファンの夢を乗せたドリームレースが近づいてきた。

新元号令和初のグランプリGⅠ第64回有馬記念(2500m芝)が12月22日、中山競馬場で行われる。近年ファン投票上位馬の回避が目立っていたが、今年は上位10頭のうち8頭が参戦する。登録馬19頭のうち12頭がGⅠ馬。香港カップを制したウインブライト(牡5、美浦・畠山吉宏厩舎)こそ出走を回避したが、有馬記念史上最多のGⅠ馬11頭が参戦する豪華メンバーとなった。

何より、盛り上がる最大の要因は最強馬アーモンドアイ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)が予定を変更して参戦することになったからだ。今年度のJRA賞年度代表馬の行方も左右する大一番。アーモンドアイには史上最多タイで7頭目の芝GⅠ7勝目の記録がかかる。

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あのディープインパクトは4歳暮れの有馬記念で通算14戦目、GⅠ7勝目を花道に引退した。ウオッカ、ジェンティルドンナの牝馬2頭は5歳の暮れにGⅠ7勝目を挙げた。

アーモンドアイはディープインパクトよりも、かつての名牝2頭も上回る4歳暮れ11戦目でのGⅠ7勝目を狙う。勝てば国内外でGⅠ年間3勝。2年連続JRA賞の年度代表馬へ向けて今回は結果が要求される1戦でもある。

規格外の強さを誇るアーモンドアイ

10月27日に東京競馬場で行われた伝統のGⅠ第160回天皇賞・秋(2000m芝)もGⅠ馬10頭がそろった超豪華メンバーだったが、アーモンドアイは直線最内から他馬を問題にしない強烈な切れ味を繰り出し圧勝した。1分56秒2はレコードに0秒1差。後半が速い流れで差が出にくい展開で、並ぶ間もなく鋭く突き抜けての3馬身差は決定的だった。圧巻の強さで10万人を超える大観衆を魅了した。

安田記念では、上がり3F32秒4の驚異的な切れ味を繰り出したものの、スタート直後の不利が響いて3着に敗れて連勝はストップ。天皇賞・秋は1週前追いでクリストフ・ルメール騎手は息遣いの悪さを指摘し、本来の状態ではなかった。それでもこの勝ちっぷり。

国枝栄調教師は「バケモノだよ。まだ八分なのにな」と筆者と握手して笑った。レース後の会見で国枝調教師は「私自身が驚いている。もう、おっかないというか、すごいなと」とあまりの強さにあきれたような表情を見せた。「アーモンドアイはいつもわれわれが思っているさらに上を行く。まだ上があるんじゃないかと思わせてくれる」。まさに規格外の強さだった。終わってみればアーモンドアイの独壇場だった。

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