15日は美浦Wコースを軽く流した。「グッドコンディション。いつもと同じアーモンドアイ。それが1番」とルメール騎手は語った。「アーモンドアイは家族のような馬。子どもも奥さんも大好き。特別な馬」という。
ルメール騎手にとって有馬記念は2005年にハーツクライで初めてディープインパクトに土をつけ、2016年はサトノダイヤモンドで勝った。過去12回騎乗し2勝2着4回と連対率5割を誇り、「ラッキーレース」と自信の表情を見せる。国枝調教師は「何も気になるところはない。高ぶるところもない。順調だよ」と悠然と構える。
「ファン投票1位になったのはみんなが見たい馬ということ。ほかの馬にはないものがアーモンドアイにはあると思ってくれているんじゃないかな。勝ちっぷりや、うなるような強さ、すごさ。自分も見ていてそう思う。みんなが見たいよね」。国枝調教師ですら魅了されるその強さ。「勝って2年連続年度代表馬になれればいい。3年連続なんてなれたらすごいよな」。その夢はさらに膨らむ。
18日、美浦トレセンでの最終追い切りはWコースで1週前と同様にノチェブランカとの併せ馬。直線で内に入ると朝もやを切り裂くように馬なりのままで楽々と3馬身突き放した。
ルメール騎手は「アーモンドアイのコンディションはよさそう。すごいメンバーだけどアーモンドアイは一生懸命走ったら勝てる。枠順は一番内と大外はあまりよくないけど、別のナンバーなら大丈夫。馬場が悪くても大丈夫。有馬記念に使うので日本のファンはアーモンドアイを見ることができる。みんなラッキーだと思う」と余裕の表情でV宣言。
国枝調教師は「あいにくの霧だったけど変わりなくいい感じだった。ラストの伸びもよかった。ルメールが何も言うことないと言ってくれたよ」と満足そうに語った。注目の枠順は公開抽選会でルメール騎手が5枠9番を引き当てた。あとは無事に本番を迎えるだけだ。
アーモンドアイは過去の常識を覆せるか?
過去の傾向からいくつか気になる点はある。ファン投票1位に選ばれた牝馬はヒシアマゾン、エアグルーヴ、ウオッカ、ブエナビスタの4頭で延べ8回。出走したのは6回で最高は2010年ブエナビスタの2着。まだ1頭も勝っていない。
牝馬が1番人気になったのは過去6回で勝ったのは2008年ダイワスカーレットだけ。過去5勝の牝馬のうち1番人気で勝ったのもダイワスカーレットだけということになる。牝馬が牡馬の超A級相手に勝ち切ることの難しさを証明するデータだ。
さらに、天皇賞・秋が2000m芝になった1984年以降で勝ち馬が有馬記念へ直行してきたのは5頭いるが、昨年のレイデオロの2着が最高で勝った馬がいないという不思議なジンクスもある。それでもアーモンドアイはこれまでローテーションを含めて過去の常識を覆すような競馬を見せてきた。負ける姿は想像しにくい。令和初の暮れのグランプリで最強馬は伝説となるか。その走りに注目だ。
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