史上初の3冠馬3頭激突!熱気高まるジャパンC 世紀の大一番にネット上では早くも論戦

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5歳秋を迎えて天皇賞・秋でもフィエールマンとクロノジェネシスに迫られ、ピークを過ぎたという声も聞かれる。それでもアーモンドアイには強敵相手に戦ってきたさまざまな経験と強さがある。現役最後の一戦でも絶対的な強さを見せて花道を飾ることができるか注目だ。

コントレイルは3000mの菊花賞こそ苦戦したが東京2400m芝のダービーは完勝だった。アーモンドアイの参戦に矢作調教師はこう期待を寄せる

「これで役者はそろった。出てきてほしいと思っていたのでうれしい。これで盛り上がると思う。ラストレースということでアーモンドアイとコントレイルが一緒に走るのは最初で最後。ローテーションがきつい中で参戦を表明してくれたアーモンドアイの陣営に敬意を表したい。何十年に一度というメンバーで、みんなが盛り上げていければいいと思うし、日本中を巻き込むようなブームになれば」

過去、無敗の3冠馬2頭は菊花賞後の一戦で敗れている。シンボリルドルフは当時、中1週だったジャパンカップに参戦して3着。ディープインパクトは有馬記念で2着に敗れた。それでもコントレイルには心身の強さと父譲りの強烈な瞬発力がある。父も果たせなかった快挙で最強を証明したい。

デアリングタクトは最もゆったりした中5週で臨める。杉山晴調教師は「アーモンドアイとは最初で最後の一戦になる。相手は間違いなく現役最強馬。コントレイルも含めてその中にいられるのは夢のよう」と謙虚に語った。それでも「挑戦者の立場といえども出る以上は勝つように、しっかりと走れるように丁寧に調整していきたい」と決意を述べた。

「どの馬が勝つか」ネット上では論戦

過去、3冠牝馬はジェンティルドンナ、アーモンドアイが秋華賞制覇からジャパンカップに参戦していずれも勝っている。53キロの斤量は2頭より2キロ軽い。アドバンテージを生かしたい。父エピファネイアは2014年のジャパンカップを圧勝した。同じ舞台で父の強さを再現したい。

近年は強い馬同士の激突があまり見られなくなっていた。ローテーションが多様化し超A級馬が一堂に会するケースが少なくなっていた。オーナーサイドのそれぞれの意向もある。使い分けという声もあった。

今回のジャパンカップではアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという歴史的名馬の3冠馬3頭が激突する。それぞれの陣営が参戦に踏み切らなければ夢の対決は実現しない。そのことに敬意を表したい。ファンの立場で考えればよくぞ決断してくれたという思いだ。

通常の年ならおそらくは優に10万人を超える大観衆が東京競馬場に詰め掛けるはずだ。しかし、今年はコロナ禍の中で入場者も指定席の事前予約で制限されている。何とも残念ではあるが、春のGⅠとは違って数は少なくてもファンは入場する。歴史の目撃者となれるファンは幸運だ。

早くもファンの間では「3冠馬3頭のどれが勝つか」とネット上も含めて論戦が始まっている。これが競馬の最大の楽しさだろう。それぞれの馬にそれぞれの思い入れがあるはずだ。

予想する立場としてはこれほど頭を悩ませる対決はない。筆者はここまでのレース経験、パフォーマンスと、ずっと取材で追い続けてきた思い入れも含めてアーモンドアイ優位という結論になるだろうか。東京競馬場で観戦するファンも、テレビやネットで観戦するファンも、それぞれの思いを胸に応援しよう。

「レース・オブ・センチュリー」。胸が高鳴る世紀の大一番は刻一刻と迫っている。3頭が無事にゲートインし、無事にレースを終えることを祈りながら歴史的瞬間を心待ちにしたい。

高橋 利明 福島民報 記者

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たかはし としあき / Toshiaki Takahashi

1965年生まれ。子どもの頃から地元の福島競馬場に通う。1989年に成蹊大学卒業。入社2年目の1990年に念願の福島民報社競馬担当記者へ。1993年から本紙予想を担当。福島テレビ、ラジオ福島の競馬中継にも出演。永遠のアイドルホースはハイセイコー。競馬の現場記者であり続けることが目標。
 

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