リスグラシュー年度代表馬に見るJRA賞の裏側

有馬記念で惨敗アーモンドアイは復活するか

馬は前に馬がいれば壁ができて折り合いがつきやすい。しかし、そのまま外に出たアーモンドアイは前に壁がなくなりスイッチが入った。1周目のスタンド前の直線は大きな歓声が上がる。アーモンドアイは折り合いを欠いた。行きたがった。あんな姿は今まで見たことがなかった。

かつてディープインパクトが菊花賞で初めて1周半の競馬で最初の直線で行きたがったことがあった。筆者はレース後にそれを思い出した。賢い馬はゴールがわかるという。1周半の競馬の経験がなかったアーモンドアイは最初の直線で馬群の外の位置に出たときにいつものようにゴールが来ると思ったのではないか。

国枝調教師も「ルメールも折り合いを欠くとは思っていなかったはず」と振り返る。結果的に2周目もスイッチが入ったまま本来のリズムで走っていない。ルメール騎手との呼吸は合わないままだった。それでも3コーナー過ぎから前を追って動いた。フィエールマンが外からかぶせてきたために動くしかなかった。仕掛けは早くなった。サートゥルナーリアはこれを見てから動いた。

リスグラシューは馬群の内で動かずにじっと脚をためていた。最後の直線の入り口で先頭に並びかけたところまでがアーモンドアイの見せ場だった。あとは伸びを欠き、直線の坂を上がる前に内で力なく失速した。信じられない光景だった。まさか9着に沈むとは……。

競馬のこわさを思い知らされた

ルメール騎手はレース後「自分のリズムで走れなかった。これも競馬です」と青ざめた表情で振り返った。パトロールフィルムを確認してから報道陣の前に姿を見せた国枝調教師は「スイッチが入ったまま走っちゃったからなあ。勝ったリスグラシューみたいに内にはまっていれば。いつもの脚が出なかった」と残念そうに振り返った。

「茫然自失だよ」とは国枝調教師なりのジョークだったはずだが、それが大きな活字になってしまった。

レース後、いつものような熱中症のような症状は見られなかった。その代わりに背中の筋肉に張りが見られた。おそらくはリズムを崩してこれまでとは違う部分に疲れが残ったのだろう。有馬記念の2日後に馬体を検査した後、国枝調教師は「シリアスな問題がなかったのは何より。今回は競馬のこわさを改めて思い知らされた」と語った。

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