振り返ればやはり心配な材料はあったのだ。まずは状態面。体調がよかったのは確かだが、香港遠征を前提に11月27日に国内最終追い切りを消化してから、熱発で多少緩ませたとはいってもピークに近い状態を維持してきた。レース前にこれだけ長く美浦トレーニングセンターに滞在していたことはない。テンションを上げずに我慢していたのだろうが、やはりギリギリだったのではないか。
状態がいいときほどレース中にスイッチが入って折り合いを欠くような事態が起きることは想定できないわけではない。枠順も包まれる内枠より真ん中のほうがいいと判断したが、やはり内枠で前に壁ができたほうがよかったかもしれない。コーナーが6回あってトリッキーな中山2500mは初めての経験。これも結果論だがコースに翻弄された。
興味深いデータがある。有馬記念の長い歴史で勝ち馬がその年にコースを1周以上する競馬をしていなかったのは1年ぶりの出走だった1993(平成5)年のトウカイテイオー1頭だけだ。これは例外中の例外だろう。アーモンドアイは昨年、ワンターンの競馬しかしていない。
オークスやダービーで1周2400mの競馬を経験しているが、1周半の競馬は初めてだった。だからこそ有馬記念の最初の直線で折り合いを欠いたのではないか。大歓声も上がった。あの菊花賞のディープインパクトのようにゴールが来たと思ったのではないか。アーモンドアイのようなレベルの馬でも経験は大切なのだ。筆者はそう感じた。
今年はアーモンドアイの復活が焦点
国枝調教師は前を向く。「一度敗れたからこそ、立ち上がるのはドラマになるんじゃないかな。ファンはそれを楽しみにしてくれていると思う」と言う。「このまま終わらせるわけにはいかない。もう一度強いアーモンドアイをファンに見せることがわれわれの務めだと思う。どう立て直すかだね」と巻き返しを誓う。現在はノーザンファーム天栄で調整中。連覇が懸かるドバイターフとドバイシーマクラシックに登録を済ませた。
1月19日に開かれた天皇賞・秋の優勝祝賀会の席上、シルクレーシングの米本昌史代表は「国枝調教師とドバイターフの連覇をしようという方向で話を進めている。今は有馬記念の疲れが見られるので、慎重に体調を見極めている」と語った。筆者は強いアーモンドアイが戻ってくることを信じている。個人的には欧州最強牝馬エネイブルとの対決を期待している。
今年の競馬はアーモンドアイの復活が焦点だ。海外に向かうのか。動向を追い続けたい。コントレイルとサリオスの対決も楽しみだ。また今年も海外でも活躍する日本馬が見られるだろう。見どころはたくさんある。今年も競馬を楽しんでほしい。
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