まるで動物園「中高生への過保護」が生む悪循環 手を離せず再び「枠」にはめようとする親たち

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<動物園型>
動物園の動物は、安全・安心で、食べ物を自分で取りに行く必要はありません。いつも決まった時間になれば食べ物が与えられ、体の掃除もしてくれます。しかし、行動の自由はかなり制約されます。また動物園にはたくさんの種類の動物がいますが、お互いが交流することはなく、いつも同じ種類の同じ顔を見て生活しています。
<牧場型>
牧場には、大きな柵があります。広い牧場にいる動物たちは、「自分たちは自由」と思っていますが、実はよく見ると「柵があった」という感じです。この牧場には、さらにいくつもの規模があって、柵が見えないぐらいの広い牧場、柵は見えるけれど広い牧場、牧場という名の狭い広場など。どの牧場が動物にとってストレスがなく、自立的に動けるようになるかは明白です。
<サバンナ型>
サバンナ型は文字どおり、サバンナで生きる動物を指します。サバンナなので、守ってくれるものはなく、自分のことは自分で守っていかなければなりません。このサバンナ型は、たくましく生きられる代わりに、いつ危機に直面するかわかりません。

ほかにも動物が存在する場はあるでしょうが、わかりやすいのでこの3つの型を挙げました。

人間の場合、赤ちゃんのときは動物園型です。赤ちゃんはご飯もいつも食べさせてもらえるし、体も洗ってくれるし、泣けばすぐにお世話してもらえます。間違っても、いきなりサバンナに放たれることはありえません。

さらに3つのコースに分かれていく

その後、子どもが成長し、行動範囲が広がります。しかし、目を離すとどこへ行くかわからないし、何をしでかすかわかりません。そこで、親の監視の目が入ります。それによって子どもは安全が確保されます。この親の見ている範囲が「牧場の柵」にあたります。未就学児、小学生、中学生と成長するにしたがって、牧場の柵は遠くになります。

そして、大人に近づくにしたがって、徐々に“サバンナ”へと移動し、最後は自立します。

これが一般的なあり方ですが、こう簡単に移行するとは限らない場合があります。子どもが幼稚園、保育園に行くようになる頃から牧場型になるのですが、中学生になったあたりから、次の3つのコースに分かれていくのです。

コース1)牧場の柵が遠くなっていく
通常のルート。子どもの行動範囲も広くなり、子どもの自主性に任せていくが、親は遠くから見ている状態。さらに子どもに「自分のことは自分でする」という観念を小さいことから教えているため、親が見えないところ(遠く離れた柵付近)でも、行動の善悪、安全・危険の判断ができる。
コース2)牧場の柵が近くなっていき動物園に戻る
「私が見ていないとダメ」と考える傾向にある親が陥るルート。子どもよりも親が将来を不安視し、子どもの欠点、短所が気になりそれをいじり、親の考える枠に入れようとする。子どもは、その枠を嫌い、飛び出そうとするが、親はそれを制止する。
コース3)完全放置のサバンナに放つ
子どもが自主管理できるようであれば、これが本当の意味の「自立」となるが、そうでない状態で“サバンナ”に放つと、いつ危険な状態に陥るかわからない。子どもがどのような行動をとっているのかまったく感知しない状態であるため、ある意味親としての責任は放棄した状態になる。
次ページ3つのどのルートを選択するのかは親の判断
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