「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ 7年間、うつを経験した医師が語る実際
「ごく普通の家庭」で育っているのに…
「うちは子どもに愛情を注いで育ててきたつもりだ」「自分で言うのもなんだけど、わが家はいい家庭だと思う」。お子さんのことで悩みながらも、このように考える親御さんは少なくありません。
では、虐待があるわけでもない、夫婦ゲンカが絶えないわけでもない、いわゆる「ごく普通の家庭」で愛されて育ったお子さんでも、「心が折れてしまう」ことがあります。いったいなぜでしょうか。
「母原(ぼげん)病」という言葉があります。これは、母親の育児が原因で、子どもの病気や問題を引き起こしてしまうことを言います。もちろん、お母さん方を責めるつもりはありませんが、子どもを愛しているのは事実でも、子どもを「囲ってしまう」ような愛し方に問題があるのです。
これは知り合いから聞いた話ですが、客船に乗っていた際、日本人の親と外国人の親の、子どもへの接し方の違いに驚いたと言います。
日本人の親は、子どもが船上で遊んでいると、危ないところに行かないようつねにそばにいる。一方、外国人の親は、子どもを自由に遊ばせ、本当に危ないときにだけ、さっと駆けつけるのだそうです。
私は、子育てもこれに近いと思っています。本当に危険なときは当然守るべきですが、危ない目や嫌な目に遭わないようにいつも先回りしたり、問題が起きたときに親のほうで解決したりすると、「生きる力が弱い子」にもなりかねません。
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