ホームレスは普段どこで何を食べているのか 実態を探ると「貧困ビジネス」の影も見えた

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聞くと、近所のマンションに住んでいる年金暮らしのお年寄りが、河川敷に来て畑を作っているという。多摩川の河川敷では、そういう一般の人が畑を作っている人は珍しくなかった。直接、話を聞くこともできた。マンションではダイナミックに畑を作ることができないので、河川敷に来ているそうだ。

趣味のサイズを超えた大がかりな畑もあった。話によると、外国の人が育てているのだという。自分で経営しているレストランで出している、との噂もあった。

河川敷での畑栽培はよく野菜泥棒される。せっかく育てたのに収穫に来たら全部盗まれていた、ということも多いそうだ。

まれに釣りをしている人はいたが、それで食べているという人はいなかった。

「ハトを焼いて食べた跡があった」

「犬を食べた人がいた」

などの噂を聞いたことはあったが、都市伝説的な信憑性にかけた証言だった。実際には、そんな人はほとんどいないだろう。

●拾い食いのケース

拾い食いをするホームレスもいる。

公園などのゴミ箱をごそごそとあさって、食べ物を見つけては拾って食べる人もいた。もちろん衛生的には最悪である。まだ人通りの多い公園であさっていると、親子連れやカップルからにらまれる。

ホームレスがたくさん集まっている公園などでは、そのような拾い食いをする人をさげすむホームレスの声も聞かれた。

「俺は拾い食いはしねえ。それくらいのプライドはあるんだよ!!……とは言え、まあ将来はわからんけどね」

と語るおじいさんのホームレスもいた。

実際、人目を忍ばずに拾い食いをしている人は、話をしようとしても会話にならないことが多かった。恐らくなんらかの精神疾患や認知症である確率が高いと思う。

そのような状態の方々は、なるべくなら病院や施設で保護するほうがいいのではないかと思った。

食べかけで捨てたようなものではなく、比較的キレイな食べ物がまとめて捨てられている場合はハードルが下がり、多くの人が拾う。

花見シーズンは食材やお金が儲かるイベント

花見のシーズンは、上野公園はすさまじい数の人でにぎわう。花の下に席取りをして、連日花見会が開催される。個人だけではなく、会社単位で花見をするケースも多い。花見を終えたグループは残った食材を大量にゴミ箱に捨てていく。それを目当てにたくさんのホームレスが集まっていた。

「花見が終わった後に、花見客から『持って帰るの大変だから余った食べ物やお酒いりますか?』って大量にもらいました。ありがたいですよね」

と両手に食べ物を持って帰る男性もいた。

20年ほど前に取材したときには、女に扮して芸をしておひねりをもらうホームレスがいた。話を伺うと、調子がいい日だと数万円稼げたという。

花見は、ホームレスにとっては食料やお金が儲かるイベントだった。

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