ホームレスは普段どこで何を食べているのか

実態を探ると「貧困ビジネス」の影も見えた

それらの食品を買っていたのはホームレスだけではない。日雇い労働者や街の住人も買っていた。僕も買って、宿泊先のドヤで食べた。なんの問題もなく食べることができた。

昼間、あいりん地区の路上に座って、ゴミ箱から集めてきたモーターを一つひとつ分解して銅線をほじくり出して集めているおじいさんがいたので話を聞いた。

「丸1日こうやって銅線を集めて売ると100円以上にはなるんだ。その金で弁当買って、なんとか1日をやり過ごすんだ」

と言った。

毎日100円を稼ぐために延々と仕事をする。金属回収は決して効率のよい仕事ではないが、それでもギリギリ生きていくことはできる。

刑務所のほうがずっとマシ

また絶対に許されることではないけれど、万引きで食べ物を手に入れるという人もいた。

「俺はコンビニやスーパーで万引きする。同じ店ではやらない。まずはカメラの位置を見て、見られない場所を確認してからやる。だから食べたいものが盗みやすい場所にあるとは限らない。スルメばっかりたくさん盗むってこともあったよ」

と言っていた。そうやって万引きを繰り返していたら、いつかは逮捕されてしまう可能性が高いだろう。怖くないのだろうか?

「正直、捕まっても別にいいと思ってる。今より、悪くはならないだろ? 刑務所で食わせてもらえるなら、それならそれでいいよ」

と諦めた口調で語った。そんな投げやりな感じで、商品を盗まれる店はたまらない。

「犯罪に手を染めてでも、刑務所に入りたい」

と語る人は少なくなかった。ホームレス生活では、寝場所も食べ物も、自分でなんとか手に入れなければならない。理不尽な暴力をくらう可能性もある。

それに比べたら、刑務所のほうがずっとマシだ……という話を何度も聞いた。

あまりに救いようがない話に思えてしまい、思わずうつむいてしまった。

●炊き出し

炊き出しの列に並ぶ人々(筆者撮影)

東京の山谷、大阪のあいりん地区などのドヤ街、上野公園などでは、定期的にホームレス向けに炊き出しが開催される。

毎日おかゆを配る場所もあり、それだけを主な食事にして生きている人もいる。

拾い食いと同じく、炊き出しを食べないことをプライドにしている人もいた。

「俺は炊き出しは食べないよ。あいつら(炊き出しを提供する人たち)の『俺はお前らに施してやってるぞ』という顔が気に食わないんだ!!」

と、炊き出ししている人に、なぜか敵意を抱いている人は多かった。内心、炊き出しに並ぶことを恥だと感じていて、それを払拭するために支援者に対して怒っていたのかもしれない。

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