ホームレスは普段どこで何を食べているのか 実態を探ると「貧困ビジネス」の影も見えた

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そんな「宵越しの銭は持たない」を地でいく人は、食事に関してもケチらない。コンビニや牛丼屋などで適当に弁当などを買って食べる人が多い。

インタビューをしていると、

「おっし、俺が飯をおごってやるよ」

と言って、飲み屋に連れていかれることもあった。気前よくおごってくれる。ただし、やはり後先はあまり考えていない。泥酔して店には怒られるし、結局お金も足りなくなって僕も出したこともある。

100円ショップで買い物をして自炊するケースも

もちろん、節制しながら、まめに自炊をする人もいた。

生鮮食品も販売している100円ショップで買い物をする人が多い。スーパーや量販店でまとめ買いをしたほうが安くつくかもしれないが、食材を冷蔵庫で保存することができない。

買ってきた食材は、カセットコンロを使って調理をする。

2016年当時、上野公園では3人組でいつも焼き肉をしている人たちがいた。3人で空き缶を集め、3人で食材を買ってきてご飯を作っているという。

「儲かったときには、発泡酒も飲めるんだ」

と言っていた。

あいりん地区の公園に住むホームレスに話を聞いていたら、「ご飯を食べていくか?」と聞かれたことがあった。

暑い季節だったので、小屋の中も暑かった。

「俺は沖縄出身なんだよね。なかなか里帰りすることはできないけど、飯くらいは沖縄の料理を作るよ」

と言って、フライパンで汁なしのソーキそばのような料理を作ってくれた。野菜や肉も入っていて、しっかりした食事だった。

食べてみるとおいしかったのだが、かなり、しょっぱい味付けだった。

「しょっぱいかい? 夏場にホームレスをしてると汗かくからしょっぱくしてるんだよね。クーラーもないからすごく暑いしね」

と陽気そうに話してくれた。

ただ僕は、しょっぱさがなんだか涙の味のように感じられてしまい、少しだけさみしい気持ちになってしまった。

飽食の時代と言われて何十年も経つ。現在、おいしい食事を手に入れるのに、ほとんど苦労しないですむ。

ただし、ホームレスの立場だとそうはいかない。拾うにせよ、施されるにせよ、買って食べるにせよ、大変な苦労がつきまとうのだ。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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