ホームレスは普段どこで何を食べているのか

実態を探ると「貧困ビジネス」の影も見えた

シジミは貝毒が発生する季節は捕まえてはいけないため、年中とれるわけではない。貝毒とは有毒プランクトンを貝が食べて、毒化してしまうことをいう。4~5月に発生することが多い。

男性に貝を欲しがったのは、彼の小屋に遊びに来る人だ。遊びに来るときには食べ物やビールなどを差し入れしてくれる。物々交換のような形で、貝をとって渡しているのだ。

ほかにも貝を食材として買いに来る人は何人もいた。

「昔は、淀川のシジミなんか食えるか!って言ったもんだけど、今は人気だよ。すまし汁1杯で数千円する店もあるよ」

個人だけではなく、料亭なども買いに来ることがあるという。シジミは安くない値段で取引される。男性は自分でも食べることは多いが、売ったりあげたりすることが多いと言った。

上野公園のいちょうの木から落ちた銀杏を、ホームレスが商品化して販売していた時期があった。それとよく似ている。彼らも自分で食べるよりは、商品として販売していた。

小屋の中にはかまどがあり、炭が燃えていた。かまどは基本的には暖をとるためのものだが、料理に使うこともある。

「この炭は河川敷でバーベキューをやった後に捨てられていたのを、拾ってきたヤツなんだ。みんな帰りにほかしていくだろ? それを洗って干しておく。細かい炭ばかりだけど、大きい炭よりも使い勝手がいいのよ。あまりはぜないし、一気に燃えることもない」

彼は小さい畑も持っていて、ゴーヤや菜の花なども育てていた。また彼の元に遊びに来る人が作っている、畑も管理していた。

貝と農作物だけを食べて暮らしているわけではないものの、食事の一部を占めていた。

河川敷で土地を耕して畑作り

多摩川の河川敷では畑を作っている人が多い。小屋の前の土地を耕して、種をまいている。または葦のやぶで外からは見えない場所を開墾して畑にする。

多摩川に10年住んでいるという男性の小屋の前には、2面の畑があった。

「基本的には食べ物しか植えないね。花なんて育てても仕方がないから。春先から植えるんだけど、けっこうとれるよ。

こっちの畑にはロープを張って枝になる植物を育ててるの。トマトとかきゅうりとか。で、もう1つの畑は根菜用。大根とかニンジンとかね。

あ、そのとなりにある畑は、うちの畑じゃないよ。元サラリーマンのじいさんの畑だよ」

次ページ一般の人が畑を作っていることも珍しくない
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