「起業の夢絶たれ…」ブラック企業を転々し不本意派遣も。貧困の沼から這い上がれない大学院出身53歳男性のリアル

ここ数年は母親の介護で働きに行けず、スニーカーの通販で収入を得ていた(取材画像から)※写真は一部加工しています
就職氷河期時代をしぶとく生きてきた世代も、いつしか中高年と呼ばれる年齢になった。世代間の格差は広がり、貧困や生きづらさを抱えた彼らは、これからの人生をどう考え、生きようとしているのか。
労働、福祉問題を中心に取材活動を行う藤田和恵さんの新連載。非正規雇用や貧困などを切り口に、今を懸命に生きる中高年の姿をリポートする。
届けられた「即日クビ」の通知
とある日、自宅にいたタカシさん(仮名、53)の元に内容証明の封筒が届いた。
中身は、働き始めて半月ほどになる会社からの解雇通知。高齢者向けデイサービス施設の事務職として採用されたのに、利用者の送迎ドライバーをさせられたので、「話が違うのでは」と施設長に訴えてから数日後の出来事だった。
本来、解雇は30日以上前に予告をするなどしなければならない。しかし、タカシさんが受け取ったのは、即日解雇を意味する通知。違法だと指摘すると、会社側は「試用期間中なので問題ない」と強弁してきた。
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