バイト先だった大手学習塾に就職
「いま苦境にいる同世代の人たちも、諦めずに頑張れば必ず再起できるはずです。私のような凡人でもできたので、前を向いてゆきたいということをお伝えしたいんです」
埼玉県内のカフェで筆者を迎えてくれた吉岡進さん(49歳、仮名)は、開口一番こう語りだした。物腰が柔らかく、ソフトな物言い。接客業界で積み重ねた経験を踏まえながら、およそ四半世紀前の苦しみを語ってくれた。
「年齢的には、浪人生と同じでしたので、会社では“浪人経験のある新卒”くらいの扱いをされるとばかり思っていました。ところが、そんなことはありませんでした。当時の日本社会は、新卒至上主義だったからです。新卒で躓くと、こんなにも厳しくなるのかと思い知らされました」
吉岡さんが就職したのは、大手学習塾。都内にある中堅私立大学1年のときから、アルバイト講師として週5日教壇に立ち、中学生に英語と社会を教えた。正社員講師と同じくらい、多くの生徒を志望校に送り込んだという自負があった。教え続けるうち、生徒たちが物事の本質をつかみかけた瞬間に見せる目の輝きにとりつかれた。志望校合格に至った生徒の親からも指導が評価され、大いに感謝された。
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