倍率77倍!中国で過熱する「公務員人気」の実情 海外への渡航も制限、それでも目指す理由とは
就職難が深刻化する中国で、2024年採用国家公務員試験の出願者数が過去最高の303万人に達し、超難関となっている。
平均倍率は77倍で、最も競争が激しい職種の倍率は3572倍に達する。公務員や国有企業は以前から一生安泰の職業として人気が高かったが、政府の規制などによってITや不動産産業が採用抑制に転じたことで、以前にも増して応募者が殺到するようになった。
狭き門を突破して公務員として働く20~30代の中国人に、今の仕事を選んだ理由や満足度を聞いた。
かつては学部卒でも採用多かった
「私は運がよかった」
広東省の地方政府で経済担当職員として働く厳勝男さん(仮名、34)は何度も繰り返した。2010年代前半に中国東北部の大学を卒業し、実家に戻って今の職に就いた。最初の3年は契約職員として働き、正職員に登用された。
中国の公務員は職種を細かく分けて採用する。日本に交換留学経験のある厳さんは、地方政府の公務員試験で経済職種の日本語人材枠に応募した。
その都市には日本語専攻のある大学が1つしかないためか採用倍率は1桁台で、ほかの職種に比べかなり低かった。また、当時は学部卒で採用される人が多かった。
「最近は公務員やIT企業への就職を目指す人は大学院卒が当たり前なので、私の学歴では全然足りないですね」
6年前に結婚した夫も公務員だ。職場近くのマンションに、夫婦、3歳の子ども、自身の両親と5人で暮らす。
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