「茶道は未来をつくるためのもの」、千玄室氏が102年の生涯で伝え続けた《和敬清寂》の精神
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国際活動の原点となった戦争直後の経験
長寿の秘訣は、前編で紹介したような「身体の管理」だけではない。精神面のアンチエージングだ。
千氏の生涯にわたる平和活動は、つねに前向きな生き方を維持した。世界各地で茶をたて続けた行動は、自身の使命感を燃やし続け、心身の活力を保つ原動力にもなった。千氏に見る健康の秘訣であり、長寿の要因は、日々の運動、食生活、そして生きがい、という3つの要素が組み合わさった「三位一体」にあるといえよう。
戦後間もない頃、進駐軍の兵士に茶道を教える父・淡々斎の姿に衝撃を受けた。「昨日の敵」が畳の上で茶を飲みながら、互いを尊重し心を通わせることで、よりよい関係を築き対等に交流できる「和敬清寂」の力を実感したという。この体験が、千氏の国際活動の原点となった。
以降、世界各地で茶道を通じた交流を重ねていく。ハワイ・真珠湾の戦艦アリゾナ記念館での献茶式では、かつての戦場に平和の象徴として一碗を捧げた。ウクライナの首都キーウでの茶会では、紛争地においても文化が対話の場を生むことを示した。


















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