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「茶道は未来をつくるためのもの」、千玄室氏が102年の生涯で伝え続けた《和敬清寂》の精神

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「たった一碗のお茶でも、こんなに役に立つのだな。ありがたいな。もっと多くの方にこの一碗を飲んでいただかなければ」

この言葉には、茶道を通じた人間理解と共感の哲学が凝縮されている。2025年の大阪・関西万博では誘致特使を務め、文化と未来をつなぐ役割を果たした。100以上の公職・役職を持ち、102歳を迎えても茶道という枠を超えて、日本文化・精神の核を世界に伝えようと精力的に活動していた。

茶道を「開かれた対話」の作法に転換

仏教・神道の家に生まれながら、キリスト教主義の学校で学び、異文化との交差点に立った千氏は、まさに「越境する家元」であった。同志社校友会の会長を務めた千氏には、最近まで各地の校友会からお声がかかっていた。千氏は東京校友会でほほ笑ましい「自慢」をした。

「私は聖書の隅々まで読んでいます。牧師さんと同じぐらい聖書に詳しいです」

「なぜ、耶蘇教の同志社へ行かなくてはならないのですか」と父に反発した千氏だったが、日本の心である茶道を極めるにとどまらず、仏教、神道に加えてキリスト教にも詳しい国際教養人、社会運動家として活躍するに至った。

浅き知識は主観的な思い込みにつながる。同志社中学に入る前の千氏は食わず嫌いだったのかもしれない。食べてみたら、耶蘇教もおいしかったようだ。

千氏は、食わず嫌いで敬遠されていた茶道を「開かれた対話」の作法に転換させた。茶室という小さな空間に、世界の人々を招き、文化を通じて平和を築く「作法」は、日本ブランドを高めるうえで大きく貢献するだろう。

「茶道は、過去を守るためのものではなく、未来をつくるためのものです」

そう強調していた千氏には、人生100年時代の究極のレジェンドとして、102歳を過ぎても活躍してほしかった。

6月1日、「これから、第12回国際馬術文化交流フェスティバルに行き、臨席される高円宮妃久子殿下をお迎えしないといけないので失礼します。では、お元気で」と笑顔で手を振りながら颯爽(さっそう)と去っていった姿に感動したばかりだったのに残念である。

ご冥福をお祈りいたします。

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