河川敷在住ホームレスを襲う「一般人」の暴力 だから彼らは隠れるように寝ている

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多摩川の河川敷に建てられた小屋(筆者撮影)
ホームレス。いわゆる路上生活をしている人たちを指す言葉だ。貧富の格差が広がる先進国において、最貧困層と言ってもいい。厚生労働省の調査によると日本のホームレスは年々減少傾向にあるものの、2017年1月時点で約5500人(うち女性は約200人)もいる。そんなホームレスたちがなぜ路上生活をするようになったのか。その胸の内とは何か。ホームレスを長年取材してきた筆者がルポでその実態に迫る連載の第3回。

2015年の冬、多摩川の河川敷へ取材に行った。公園や駅前は野宿行為をかなり厳しく取り締まるようになったが、河川敷はそれほどではない。野宿生活をする人を取材する目的でたびたび訪れている。

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多摩川河川敷と言ってもかなり広いが、その日は川崎側の河川敷に足を運んだ。

土手を歩いていると、手作りの掘っ建て小屋の中でたむろする初老の男性たち数人を見かけた。最初は「野宿生活者の方たちかな?」と思ったが、どうも様子が違う。とりあえず話を聞いてみる。

「うちらはホームレスじゃないよ。仕事リタイアしたヒマな人が集まって、河川敷で釣りやったり、鍋やったりしてんの」

と陽気に語る。

聞けば掘っ建て小屋は彼らが自分たちで建てたそうだ。

趣味で河川敷を活用している人は少なくない。河川敷に畑を作って大規模な家庭菜園を楽しんでいるおじいさんもいたし、綺麗に葦を刈ってゴルフ場を作っているおじさんもいた。河川敷に工作するのは違法行為だが、強くは取り締まられていない。役所の人たちは『耕作禁止』の看板を立てたり、張り紙を貼るだけで、放置してある。

気が荒い人が多いのはなぜか

先ほどのおじさんに、野宿生活をしている人に話を聞きに来たと伝える。

不法耕作禁止を呼びかける看板(筆者撮影)

「ああ、ここらへんのホームレスはちょっと気が荒い人が多いから気をつけたほうがいいよ。話しかけると怒鳴られるかも。コッチの仕事してる人が多い場所だからさ」

と言うと、人差し指をクイクイっと曲げた。“泥棒”と言いたいらしい。

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