「もうちょっと安全な場所に小屋を建てたほうがいいんじゃないですか?」と聞いてみる。
「俺はもともともっと上流に住んでたんだよ。ここよりもたくさんホームレスが住んでる場所に。でもそういう場所は、一般の人にすごい嫌がらせされるんだよ……」
そういうとおじさんは、顔をひどく曇らせた。
「夏になるとしょっちゅう石とか花火をぶつけられる。それもまあ我慢してたんだけど、ある夏に寝ていたら、中学生くらいの悪ガキに火をつけられたんだよ」
ライターオイルをかけられ、背中に火をつけられたそうだ。幸い燃え広がる前に火は消えたが、熱さに暴れている姿を見て、子どもたちは笑っていたという。
野宿生活者を取材していると、この手の話はイヤというほど耳にする。
加害者は“普通の人”が多い
・地下鉄の階段の下の閉められたシャッターの前で寝ていたら、階段の上から自転車を投げつけられた
・商店街で段ボールにくるまって寝ていたら上から踏みつけられて骨折した
・公園にいたら自転車に乗った少年たちに散々追い掛け回された。疲れて倒れたら、打ち上げ花火をぶつけられた。
・繁華街でゴミをあさっていたら、後ろから急に蹴られた。そしてなおもなじられながら、暴行を受け続けた
暴行の加害者は“普通の人”が多い。
繁華街では酔っ払ったサラリーマンがホームレスに暴行を働くケースをよく耳にする。警察沙汰になった後日、シラフに戻り泣きながら怪我をした野宿生活者に謝るサラリーマンもいた。
河川敷や公園では小学生から中学生が集団でホームレスに暴行を働くケースが多い。中には河川敷でバーベキューをしに来た大学生グループが、酔っ払ってホームレスに火をつけた事件もあった。
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