元銀行員の僧侶が解説、ビジネスパーソンの悩みに寄り添う『歎異抄』。700年前の仏教書に散りばめられた「生きるヒント」

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ビジネスパーソン
『歎異抄』の教えをひもとくと、現代のビジネスパーソンが抱えがちな悩みや不安の対処法も見つかりそうです(写真:Ushico / PIXTA)
「人に頼るのが苦手」「完璧を求めすぎて疲れる」「先が見えなくてなんとなく心配」ーー。混沌とする社会に日々揉まれながら、精神的な疲れや不安を抱えているビジネスパーソンは多いものです。
そのような人に元銀行員という異端の僧侶・安永雄彦さんが、700年以上も読み継がれている鎌倉時代に書かれた仏教書「歎異抄」から、現代を生きる私たちの心にも響く親鸞の教えを伝えます。
「歎異抄」は単なる宗教書ではなく「人間の生き方とは何か」「信じるとはどういうことか」という根源的な問いを投げかける人生哲学の書としても読むことができる名著。
西田幾多郎や、司馬遼太郎、遠藤周作、吉本隆明などといった日本の名だたる思想家・文学者も愛読しており、司馬遼太郎は、無人島に持って行く1冊として『歎異抄』を挙げたほどでした。
そこで安永氏が編訳した『超訳 歎異抄』より一部を抜粋し、現代のビジネスパーソンに向けた解説を2回にわたってお届けします。本記事は2回目です。
【前の記事】元銀行員“異端”の僧侶が語る、700年前の仏教書『歎異抄』に現代人が救われる理由。《誰もが自分の中に「善」も「悪」も抱えている》

仏教での「他力本願」、本来の意味

私は、前記事でもお伝えしたように、銀行員を21年、経営コンサルタントとして15年働きながら、50歳のときに得度(とくど)をして法名(ほうみょう)を得て、僧侶となりました。

その後、ご縁があって2015年7月には築地本願寺の改革を担う僧侶のトップとして、代表役員宗務長(しゅうむちょう)に任命されました。築地本願寺に赴任し、多くの改革を進めることになったのです。

境内にカフェをオープンしたり、ヨガの教室やコンサートを開いたり、オンライン法要を始めたり。拙著『築地本願寺の経営学』にも書きましたが、「開かれたお寺」を目指してさまざまな改革を手がけてきました。

このようにビジネスパーソンとして生きてきた背景があるからでしょうか。『歎異抄』について、ビジネスパーソンに解説をする機会に数多く恵まれました。

そのときに、歎異抄や浄土真宗はおろか、仏教についてもあまり詳しくないビジネスパーソンにも伝わるようにお話ししてきた経験がたくさんあります。

たとえば「悪人正機」「他力本願」「絶対他力」の考えは、現代のビジネスパーソンにも大きな学びを与えてくれるものです。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事