
じつは「破天荒」だった一休さん
一休宗純(いっきゅうそうじゅん)の臨終の言葉は「死にとうない」であったと伝わっています。
悟りを開いた名僧の言葉とはとても思えませんが、この人間臭さが一休禅師の魅力ともいえます。禅とは「ありのまま」の自分を生きることを説くもの。ならば一休さんほど、禅の精神を体現した人はいないかもしれません。
一休宗純の幼少期をモチーフにしたテレビアニメ『一休さん』(1975~1982)をご記憶の方もいるかもしれません。数々の困りごとを見事解決する「とんち」と、「あわてないあわてない、一休み一休み」というセリフで、一休は当時の子どもたちの間でも有名になりました。
実在の一休さんも、日本で最も親しまれている禅僧のひとりです。ただ、アニメのイメージと違うのは、とんちより「風狂」の人だったということ。当時の仏教では禁じられていた飲酒や肉食、恋愛も大好き。
77歳のときには美しい旅芸人「森女(しんにょ)」と出会い、同棲していたほどです。さらには、「釈迦といういたずら者が出てきて世の中を迷わせた」とお釈迦さまですら揶揄したと言われているのですから、相当です。一休さんの生涯は、破天荒という言葉がふさわしいものでした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら