開催される炊き出しをまとめて張り出したり、チラシにして配っていたりする地域もあった。空き缶などを集めながら、炊き出し巡りをする人は多かった。すごい人になると、自転車で数十キロ移動しながら炊き出しを渡り歩いていた。
炊き出しで貧困ビジネスが横行
そんな中には、悪質な炊き出しもあった。
「炊き出しをします」と言って人を集め、弁当などを配り、そのついでを装い、
「飯付きのアパートに住まないか?」
などと話を持ちかける。
アパートと言っても部屋をパーティションで区切ったとても狭いスペースしか与えず、飯もほんの貧しい食事しか提供しない。
そして生活保護を強制的に受けさせられ、家賃や食費としてほぼ全額取られてしまう。
いわゆる貧困ビジネスだ。炊き出し中、よく声をかけられたというホームレスに話を聞いてみた。
「俺は弁当だけ食べて、話は今度聞かせてくださいとか言って、いつも逃げてたよ。約束だけして、集合場所に行かなかったりね。でも一緒に炊き出しに参加したやつの中には、業者にほいほいついていってアパートに入る者もいたよ。
でも業者にカモにされても、結果的に全然気にしてない人も多いんだよね。どのみち、自分では生活保護を受けられなかったから、お金を取られても満足です、とか言ってたよ」
と話してくれた。
貧困ビジネスはかなりあこぎな手段で、お金を取られるのでもちろん関わらないほうがよい。もし生活保護で生活していきたいと思うなら、きちんとした手続きをして住居を借り、生活保護を受給するべきである。
そうすれば、きちんとした場所に住み、きちんとしたものを食べることができる。貧困ビジネスの提供するアパートに住むよりも、ずっと社会復帰しやすいはずだ。
●食材を買ってきて自炊、もしくは食堂で食べる
実はホームレスの食事で最も多いのは「自分で稼いだお金で買って食べる」である。
ホームレスの多くは仕事をしている。アルミニウム製の空き缶集めや、紙類を集めて換金し現金を手に入れる人もいるし、日雇い労働や工場に働きに出てまとまった額を手に入れる人もいる。
ホームレスはお金をあまり持っていない人が多いが、しかしケチな人は少なかった。むしろ、現金があるとパーッと使ってしまう人が多かった。なかには、1カ月飯場に入って貯めたお金をギャンブルで、一晩ですっからかんになってしまうという人もいた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら