木本:まさかサメの肝臓がなかったら零戦が飛ばなかったとは。敵はサメみたいな飛行機を造ってましたけどね。ほかに軍需品になったものはありますか。
沼口:牛革が不足していたのでサメ革で軍靴を作ったそうです。
木本:シンプルにサメ革で靴を作ったと。
沼口:今日持ってきたのはウバザメの皮の標本ですが、薬品をかけると牛革のような弾力ある鞣し革になります。
木本:固くてしっかりしてます。乾いているせいもありますが、しっかりしていますね。あれ、これも革ですか?
さまざまな用途に利用された鮫皮
沼口:このザラザラの鮫皮は浮世絵師が刷毛(はけ)を筆下ろしするときに使ったそうです。
カスザメという平たい形の革を使って、刷毛をザザッとすいて柔らかくして、染料を版木に塗りやすくする。江戸時代にはそういう用途にも使われていました。
木本:昔のサンドペーパーはサメ皮だった。お寿司屋さんでわさびをおろす「鮫皮おろし」もそうですよね。
沼口:コロザメの皮が使われています。木の板に貼っておろすとちょうどいいあんばいにおろせるんです。
木本:もちろん食用としても重宝されていた。
沼口:フカヒレは有名ですが、サメの肉はいまでもローカルフードとして各地で食べられています。おいしくてコンスタントに獲れるポピュラーなのが2種類います。ひとつはネズミザメです。流通名はモウカやモロ。どのようなサメかというと、ホホジロザメに似ていて、サイズが少し小さいものです。もうひとつがアブラツノザメ。青森より北の海で漁獲されることが多いです。
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