今回の「月間エンタメ大賞」は大谷翔平を取り上げる。打者と投手の「二刀流」としてメジャーリーグで大活躍。4月のア・リーグ月間最優秀新人賞も受賞し、5月6日までの成績は、打者として打率.339、本塁打4本。投手として3勝1敗(防御率4.10)なのだから、堂々たるものである。4月のスポーツ報道は、大谷翔平一色で染められたと言っても過言ではない。
しかし今回論じたいのは、その溌剌(はつらつ)としたプレーそのものではなく、メジャーという舞台で躍動するほどに、大谷翔平を大きく育んだ、北海道日本ハムファイターズの人材マネジメント力である。そこには一般企業の人材マネジメントの参考になりうるものが、多く潜んでいると思うからだ。
改めて考えるファイターズのドラフト指名
まず注目したいのは「ファイターズが大谷翔平を指名したこと」である。
と書くと、今であれば、「あれだけの破格の才能だから、ファイターズ以外にも、多くの球団が指名したのではないか?」と思われるだろう。ここでクイズ。2012年のドラフト会議で、大谷翔平は何球団から指名されたでしょうか。
答え。1球団。ファイターズのみ。
当時の大谷翔平には、日本プロ野球を経ずに、いきなりメジャーリーグに行きたいという希望が非常に強かったのだ。
事実、指名直後の会見で大谷は「評価していただいたのはありがたいですが、自分の気持ちは変わりません。入団の可能性はゼロです」と語っていた。
ファイターズのドラフトと言えば、2011年の菅野智之(東海大)の1位指名も忘れられない。巨人の原辰徳監督(当時)と菅野が伯父・甥の血縁関係ということもあり、菅野の巨人志向は非常に強いことが知られていたのだが、そんな空気を読まずに、ファイターズはここでも、菅野を敢然と指名したのである。
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