27歳で引退、「高卒ドラフト1位」が見た真実 プロ野球のルーキー選手たちを待ち受ける壁
今年のプロ野球ドラフト会議で話題をさらったのは7球団から指名を受け、北海道日本ハムファイターズに入団が決定した清宮幸太郎(早稲田実業)と広島カープに入団が決まった中村奨成(広陵)だった。高校通算111本のホームランを放った清宮にも、夏の甲子園で最多本塁打記録を塗り替えた中村にもたぐいまれな才能があることは誰もが認めている。
高卒ルーキーの目の前にある課題
高卒ルーキーがすぐに1軍で活躍できるほどプロ野球は甘い世界ではない。不慣れな木製バット対策、一流投手のスピードとキレへの対応、1シーズン通して戦い抜くための体力づくり……目の前には課題がたくさんある。
最近の高卒ルーキーを見れば、1年目に藤浪晋太郎(阪神タイガースに2013年入団)が10勝、大谷翔平(日本ハムに2013年入団)が3勝をマークしているが、好成績を残した野手はほとんどいない。投手との二刀流で45安打、3本塁打を記録した大谷と、6本塁打を放った森友哉(埼玉西武ライオンズに2014年入団)が目立つぐらいだ。
2006年ドラフト(高校生選択会議)で東京ヤクルトスワローズに1位指名を受けた増渕竜義はプロ1年目の2007年4月に1軍マウンドに上がり、10月にはプロ初勝利を挙げた。プロ4年目の2010年にはセットアッパーとして57試合に登板し、2勝3敗20ホールド、防御率2.69という成績を残した。2011年には先発に回り、7勝をマークしている。
しかし、翌年以降は不振に陥り、2015年限りでユニホームを脱いだ。期待されながら、27歳で引退したドラフト1位に「高卒ルーキーがぶつかる壁」について聞いた。
「高校を卒業したばかりの選手はプロ野球に慣れるのが大変です。清宮くんも中村くんも野手なので、いきなり1軍で活躍するのは難しいと思います」と増渕は言う。
増渕がプロ入りにあたってまずしたことは体づくりと、入団するチームの先輩やコーチの顔と名前を覚えること。新人として特に気をつけたのは、挨拶であり、礼儀だった。増渕はチームに合流したときのことをこう振り返る。
「とにかく、先輩たちに失礼がないように、元気よく、きびきびと動くように心がけました。周りからは、『今年のドラフト1位はどんな選手だ?』と値踏みされるような視線を感じましたね」
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