今回は、10月度の「月間エンタメ大賞」として、クライマックスシリーズから、日本シリーズに進出した、横浜DeNAベイスターズ(以下、ベイスターズ)を取り上げる。ベイスターズの、エンターテインメントビジネスとしての成功にスポットを当てていくことにする。
ベイスターズのビジネス的成功は歴史的
横浜駅から電車で20分ほどかかる、市郊外の住宅街の朝。私の家の前を、ベイスターズのキャップをかぶった小学3年生くらいの少年が、学校に向かっている。何かぶつぶつ言っている。耳を澄ませてみると、「筒香が……ロペスが……井納が……」と、ベイスターズの選手についての、独り言だ――今回、書いてみたいのは、横浜の郊外に、こういう子供たちが一気に増えたことについての、考察と賞賛である――。
セ・リーグのレギュラーシーズンでは2016年同様の3位だったものの、クライマックスシリーズ(CS)に勝ち残り、日本シリーズに進出したベイスターズ。前身の「横浜ベイスターズ」が1998年に優勝して以来、長く低迷し続けたこの球団が、2012年シーズンからDeNAの傘下に入って以来、日本プロ野球史に残るほどの、ビジネス的成功を収めているのだ。
まずはホームゲームの年間来場者数を見てみよう。親会社DeNAの決算資料を見ると、2011年の年間観客動員数は約110万人にとどまっていたが、5年後の2016年には約194万人を記録、実に76%の成長を遂げ、大入り満員を何度も記録した。
またNPB(日本野球機構)のデータによれば、今シーズン球団史上最高動員を更新する197万9446人に至っている。さらに、上記決算資料によれば、赤字続きだった事業損益も11億円の黒字に大きく改善したという。
現代プロ野球において、観客動員がたった5年間で「76%の成長」をするなど、かなり珍しいことだ。そのうえ、日本のプロ野球では長らく、親会社が広告宣伝費として球団の赤字を補塡してきた歴史的経緯もある中、11億円の黒字に転換という事実は、さらにすごいことだと思う。
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