DeNAベイスターズ躍進の原動力に意外な存在 昭和と平成を結びつけたのはハマスタだった

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

このような、ベイスターズのビジネス的成功の理由について、具体的に示唆してくれる本がある。成功のキーマンである、前球団社長・池田純氏による『空気のつくり方』(幻冬舎)だ。この本の中で、最も目を引いたのは、以下の箇所である。

「投資してチームを強くすることで経営を健全化させる」のではなく、「まずは経営を健全化させ、その後にチームに投資し、経営とチームの好循環を生む」のです。

私はこれまで、1人のプロ野球ファンとして、多くのフロントの発言を見てきた。そのほとんどが「とにかくチームを強くすることが大事」というスタンスで語られていたと思う。しかし、この池田純氏は真逆のことを言っている――「チームは後、経営が先」。

そして、この考えが正しかったことは、先のビジネス的成功に対して、チームの成績は、DeNA初年度(2012年)から、6位→5位→5位→6位→3位→3位=平均「4.7位」と、いたって平凡なものであることが逆説的に立証しているのである。

よく考えたら、先の、「とにかくチームを強くすることが大事」と言った「多くのフロント」は、そのほとんどがプロ野球OBだったろう。プロ野球選手としてフィールドに立って、ボールを投げて打ったことのある人なら、そりゃ「とにかくチームを強くする」と本能的に言うだろう。

対して、池田純氏はプロ野球OBではないうえに、住友商事→博報堂→独立→DeNA→エブリスタ(DeNAとNTTドコモのジョイントベンチャー)という、多様な経歴を持っていたビジネスマンであった。そのうえ、1976年生まれと非常に若かった。

つまり、プロ野球界から「外様」の若い経営者だったからこそ、「チームは後、経営が先」という、画期的なビジョンが生み出され、そして、歴史的な水準でのビジネス的な成功がもたらされたのである。そして、その「経営が先」というビジョンを、最もシンボリックに示したアクションが、2016年1月20日に発表された、ベイスターズによる、横浜スタジアムの子会社化であることは言うまでもない。

次ページベイスターズ成功の意外な理由とは
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事