ファイターズには「プロ野球チームとしてあるべき指名をする」という確固たる考え方があると聞く。つまり「どんな事情があれど、空気を読まずに、ナンバー1の選手を敢然と指名する。それがプロ野球の球団として正しい指名なのだ」という考え方。そんなポリシーがあって初めて、菅野智之獲得断念の翌年における大谷翔平の指名、そして獲得があり得たのだ。
このファイターズのポリシーは、新卒重視、学歴重視、(旧態依然とした形の)面接重視という、硬直化した採用システムで、本当に有望な才能を取り逃しているかもしれないと懸念する人事部門にとって、大いに参考・刺激になると思う。
入団を説得するときに使った「夢への道しるべ」
次に注目したいのは、「ファイターズが大谷翔平を説得したこと」である。まずは、ファイターズの公式サイトで2012年12月13日に公開された、このニュースリリースを引用する。
”北海道日本ハムファイターズは、球団資料「夢への道しるべ」を本日から球団ホームページにおいて公開いたします。この資料は、ドラフト1位指名した大谷翔平選手(花巻東高)との入団交渉において提示した原本ですが、ファンの皆様や報道関係者から内容についての問合せが多く、今回は個人情報など公開が適当でないと思われる一部を除く全文を開示いたします。大谷選手との入団交渉時に提示した球団資料について”※公開は終了。
かつて、このページに掲示されていたのは、ファイターズが大谷翔平に入団を説得するときに使った資料「夢への道しるべ」である。残念ながら、既に公開は終了したらしく、それを紹介したページのみ残っているのだが、私は当時、この「夢への道しるべ」を熟読し、感銘を受けた。
「直接メジャーリーグに行かず、日本で基礎を作ってからメジャーに行ったほうが、成功確率が高い」。このシンプルなメッセージを、極めて実証的に論じていた資料だったからだ。
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