逆境でもヤクルト選手が戦意喪失しない理由 元メジャーリーガーが与えた予想外の好影響

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――キャンプイン直前での青木選手の復帰。描いていたビジョンは、当然変化を余儀なくされたのではないですか?

小川:そうですね。まずは外野手構想が大きく変わりました。当初はバレンティンはレフトで決定していて、残りの2つのポジションを雄平、坂口智隆、そして山﨑晃大朗の3人で争うイメージを持っていました。でも、ここに青木が加わるということは、「レフト・バレンティン、センター・青木」が決定するわけですから。外野手争いはかなり熾烈なものになりますよね。一方、攻撃面では、川端慎吾、畠山和洋が順調に復帰したとして、「足を使える選手が足りないな」とも考えていました。だから、僕としては「せめてあと1人は足を使える選手が必要だな」と思っていたんです。

――そこに、まさに「足を使える選手」である青木選手が加わったわけですね。

小川:青木もある程度の年齢に達しているので、昔のような機動力が使えるかどうかは、その時点ではわかりませんでした。でも、確実に「足の使える外野手が加わったな」と手応えを感じました。選手たちも、その点は敏感に察知したようです。1月30日、キャンプに向かう日に空港で会った瞬間、バレンティンの第一声は「今年はファーストを守ります」でしたからね(笑)。

――バレンティン選手自ら、ファーストコンバートを直訴した?

小川:はい。でも、以前僕が監督を務めていた時期に「ファースト・バレンティン」を試したことがあるんですけど、ミットの使い方に難があったし、性格的にもファースト向きではないと感じていたので、その申し出は却下しました(笑)。むしろ、宮本慎也ヘッドコーチと相談の結果、「畠山に何かあったときのために、坂口に準備をさせよう」となって、キャンプ途中から坂口にファーストの練習をやらせることにしました。

元メジャーリーガーがもたらした好影響

――青木選手は2月7日からのキャンプ合流でした。小川監督から見て、チームにはすぐに溶け込めたように感じられましたか?

小川:青木は最初のあいさつで、「年齢は上ですけど、どんどんいじってもらって構わない」と言いました。でも、そうは言っても、「現役メジャーリーガー」ですから、なかなか若い選手はいじることはできませんよね。だけどその数日後、本来ならばビジターユニフォームで練習する日だったのに、青木だけがホーム用のユニフォームを間違えて着てきたんです。そのときに、みんなが「一人だけ間違ってますよ」とか、少しずつ青木のことをいじり始めたんです。この瞬間からみんなの距離が近くなった気がしましたね。

――実際に、青木選手の加入はチームにどのような化学変化をもたらしましたか?

(写真:アルファポリス)

小川:元々、山田哲人は青木との距離も近かったから、ことあるごとに一緒に食事に行ったりして、いろいろなことを学んでいるようです。それに影響を受けて、若い選手たちが宿舎でも個人的に青木に教わったりしているようです。でも、僕が「もっとも青木の影響を受けているな」と感じるのは畠山ですね。

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