〈世界の太陽光発電〉目を見張る高い成長率、業界団体幹部「2030年までに再エネ3倍の世界目標達成に向け、さらに拡大が必要」

──世界における2024年の太陽光発電の導入実績は。
530ギガワット(5億3000万キロワット)と推計している。ただ、現在も集計途上であり、もう少し増えるかもしれない。530ギガワットというのは前年比18%の伸びとなる。過去10年を見渡した場合、年率20~30%のペースで成長している。これだけ伸び続けている業界はほかにあまり例がない。
──2023年にアラブ首長国連邦で開催された第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、2030年までに再生可能エネルギーの発電容量を3倍に増やすといった目標が採択されました。
太陽光発電の場合、2030年目標に相当する発電容量は8テラワットである。この数字を達成するには、少なくとも毎年1テラワットのペースで導入を進めていかなければならない。そのためには年率40%くらいの大きな伸びが必要だが、達成可能だとみている。
パキスタンのような新興国が成長を牽引
──その根拠は。
アジア、アフリカなどの新興国で大幅な伸びが期待できる。先進国であるドイツでは年間の太陽光発電の設備導入量は16ギガワット程度という高い水準を維持しているが、伸びは頭打ちになっている。他方、パキスタンはほぼゼロだったところから、2024年には17ギガワットに急増した。その背景には、太陽光パネルの急激な価格低下がある。
太陽光パネルのコストは1平方メートル当たり30ユーロ(4860円)程度。たとえば住宅の屋根に2平方メートルのパネルを設置する場合、1万円を切る価格でそれは可能だ。太陽光パネルの価格が安くなった結果、パキスタンでは一般市民がパネルを屋根に設置して発電し、その電力を自家消費するようになった。
背景には、ロシアによるウクライナ侵攻を機に天然ガス価格が高騰し、電力危機に見舞われたことがある。これがきっかけとなって太陽光発電の普及が一気に進み、電力系統ネットワークも安定化した。
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