弱冠32歳にして、サイバーエージェントの子会社の社長であり、3歳の女児の母――。株式会社パシャオク代表取締役社長の石田裕子さんは、誰が聞いても「すごい」と思う肩書の持ち主だ。
だが、石田さんの“伝説”は、そんなもんじゃない。
就活時、もらった「内定」は18社。営業時代は、目標を200%、300%連続達成。社内表彰を2年で13回受賞。社内初の女性局長に就任。妊娠発覚と同時に部下60人の「統括」に昇進。出産2週間前まで出勤し、産後2カ月で職場復帰。テレビCMでおなじみの「Amebaスマホ」を立ち上げ……。
この若さでこれだけの“偉業”を成し遂げる女性とは、いったい、どんな人なのか?
正直、筆者は実際にお会いするまで、そうとうに押し出しもあくも強い女性が現れることを覚悟していた。
ところが、実際の石田さんは、控え目で、微笑を絶やさず、ひたすら感じがいい、いわゆる大和なでしこ。そして、こちらが仰天するようなことをサラッと言う。
「今まで、そんなに大変とかキツイとか、思ったことがないですね」
なんだ、勝気なエリート女性の話かなんて思わないでほしい。石田さんは、みなぎる自信からそう言っているのではなく、たぶん、きっと、自分自身にそう言い聞かせているのだ。
「内定の女王」がなぜサイバーエージェントに?
石田さんは、およそ10年前、言うなら「内定の女王」みたいな人だった。もらった内定は18社。それも、大手マスコミやメガバンク、広告代理店、不動産など、業種や職種はバラバラだと言うから驚く。
筆者は人事の人をよく取材するが、「どこの会社もいちばん欲しい人材は同じ」とよく聞く。石田さんはまさに「どこの会社も欲しい人」だったのだろう。
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