ところが石田さんは、「ただ単に300社も受けただけです」と謙遜する。それにしても、300社とはまたすごい。
「毎日、違う会社のいろいろな人に会えるから、就活が趣味だったのです。だから、まったく苦じゃなかったですね」
この前向きさ、積極性こそが石田さんの真骨頂だ。サイバーエージェントを選んだのも、やっぱり「社員の積極性」に引かれてのことだった。
「ほかの会社の社員は、1年生、2年生だとまだほかの社員にくっついて研修中みたいな人が多かったのに、サイバーの人は1年生、2年生が『自分の仕事』について語っていた。そんな先輩たちを見て、私は、自分から仕事を探したり奪ったり、若いうちからどんどん裁量権を持たせてもらい、チャレンジできる環境が欲しかったんだと、最後の最後で気づきました」
就活を誰より頑張った“副産物”は、自分の望む職場は何か、その具体的イメージを把握できたことだと振り返る。
とはいえ、当時のサイバーエージェントは、ほかの内定をもらった企業に比べ、まだまだ無名の会社。石田さんも、両親に会社の説明をするのに難儀したと言う。
だが、自身の直感を信じて入社。これが吉と出た。自分が会社に求めることと、会社が社員に求めることが、見事に一致したのだ。サイバーエージェントもまた、石田さんのように、超がつくほど積極的で、スタートダッシュで仕事に食らいつく女性を求めていた。
入社直後から、出世街道を爆走
頭角を現したのは、入社してすぐだった。当時、出始めのリスティング広告(検索連動型広告)の営業として、目標の200%、300%を連続して達成。2年間で、月間MVPなど社内表彰を13回も受けた。
「実力主義の会社ですから、高い成果を出した人から順に面白い仕事が回ってくるサイクルになっていて、私も早くその波に乗りたかった。でも結局、目標を達成したい、評価されたいと、自分のために頑張っていたんですね」
「自分のため」の仕事には限界がある――。石田さんは、入社2年目にして、早くもそう悟ったと言う。
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