石田さんはきっと、「大変」な状況にこそ、自分が試されているようで、燃えるタチなのだろう。こういう前向きな人には、往々にして運まで味方する。その結果、Amebaスマホは、今では、ほぼ目標のユーザー数に達しつつあると言う。
そして、石田さんはまた現在、“新たな山”に挑む。現在のミッションは、スマートフォンで簡単にオークションができるAmeba会員向けサービス、「パシャオク」の経営全般だ。
2013年2月の会社設立と同時に社長に就任し、「ヒト・モノ・カネ」に関する一切を任される。
「ヤフオク、モバオクなど有名オークションサイトがすでにある市場に、後発で入っていくのは難易度が高い。『この仕事が失敗したら終わり』くらいの覚悟でやっています」
現在の経営の仕事に就くまでは、「将来的には、役員になりたい」なんて夢もあった。しかし、“一山”越えるごとに、そうした野望はかえってなくなったと言う。
「自分が経営に携わってみると、本社役員とのあまりのレベルの違いに、そんなおこがましいことは言えなくなるのです。今は、与えられた仕事を必死こいてやることしか考えていません」
それでも、この山を越えた後には、きっと違う“景色”が見えてくるのだろう。
石田さんは取材中、何度も、「大変だとかキツイとは思わない」だとか、「プレッシャーは楽しい」などといった、発言を繰り返した。
筆者は、この一言に、非常に感じ入るものがあった。というのも、以前、「モチベーション理論」に関する取材で、あるモチベーションを専門とする大学教授から、「結局、やる気は気の持ちよう。自分の“気”次第で、上がりも下がりもする」という言葉を聞いていたからだ。
どんなに高い山でも、どんなにキツイ仕事と育児の両立でも、自分が「よし、いける」と思ったら行ける。「楽しい」という“気”を盛り上げれば、楽しめる。結局、働きがいとかやりがいを感じることができるのも、自分次第なのかもしれない。
(撮影:今井康一)
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