サイバーエージェント"最速"の母が登る山 妊婦になっても、出産しても、さらに上へ

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食事の用意も洗濯も掃除も、ほぼすべて石田さんが手掛けると言う。

「でも、食事は土日にまとめて作って冷凍するから、普段は解凍するだけだったりと、結構、手抜きですよ」

と、またしても、自分は大したことはしていないと強調する。

しかも、お子さんを保育園に迎えに行き、ご飯の用意をして食べさせ、お風呂に入れて寝かしつけた後も、バタンキューとはいかない。

「2、3カ月先はどういう運営で仕事するか、じっくりロードマップを作って達成計画を練ったり、スカイプを使って現場とやり取りしたり。この時間、ゆっくりとひとりでものを考えられるのが、いいんですよね」

こうして、重責ある仕事と子育ての両立のリズムをつかむと、またしても、転機がやってきた。

今度は勝手知ったる営業ではない、アメーバの開発部隊のマネジメントの仕事だった。

「当時は、会社が広告代理店からメディア事業の運営に大きく舵を切る頃。私も、その一端として、変革を担うのが当然かなと思いました」

新たな仕事のミッションは、後に1カ月で30億円もの予算をかけて大規模なテレビCMを打った「Amebaスマホ」の開発リーダーだった。

「開発はまったく縁のなかった仕事なので、またイチから新卒になったつもりで、それこそ新卒の社員に仕事のやり方を聞いて教えてもらったこともあります。でも、今までの営業と違って、どういうふうにやったら成功するか、答えがないのが大変だっただけで、仕事自体や育児との両立が大変だとかキツイと思ったことはないですね」

一山超えて、見えてきた景色

社運を賭けた一大プロジェクトのリーダー役と、初めての乳児の子育てとの両立が「大変ではない」とは何事か? と思わずのけぞってしまうが、そこには、石田さんなりの深い意味が隠されている。

「大変だ、大変だと悩んでいても、しょうがないので……。だったら、その時間に、どうにかするか、手立てを考えたり手足を動かそうと思う。私、たぶん、打たれ強いんですよ。お客さんにも上司にも、何を言われても、全然、すぐに立ち直りますし(笑)。翌日には、忘れている、いや忘れたふりができるんです」

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