「そこまで私に期待してくれるなんてうれしいし、会社全体が、もっともっと大きな目標を追いかける中、自分が貢献しないと会社に失礼――なんて気がしました」
ただ、妊娠中の仕事は、そう楽なものではない。
石田さんも、超人ではないから、もちろん妊娠初期はつわりの苦しさにも襲われたし、大きなお腹を抱えての“大型商談”には苦労した。
「でもつわりは会社に来てしまえば何とかなったし、大きなお腹で営業するのは、結構トクでしたよ」と屈託がない。
「お客様に『そんな体でご苦労様です』なんて言ってもらえてましたしね(笑)」
2010年10月に長女を出産。2カ月の産休で“スピード復帰”したのにはワケがあった。
「当時、局長も兼務していたので、産休中は部下のマネージャーがフォローしてくれたり、ほかの局の局長が助けてくださいました。会社は後任を用意せず、『石田局は残しておくから、いつでも戻っておいで』と言ってくれたので、どうしても早く戻りたかったのです」
運よく、お子さんを預ける環境も整っていた。
住まいのある武蔵野市の保育園には、「子どもが生まれる前から、キャンセル待ちしていた」と言うが、通常、翌年の4月までは空かないところ、急遽、2月に空きがでた。
そのうえ、石田さんのお母さんが、「保育園に預けるまでは、見てあげるから心配しなくていい」と言ってくれたのだ。
家庭内では「日本の母」
石田さんは、すご腕の仕事人と昔ながらの「日本の母」の側面を併せ持つ人だ。
朝8時の保育園への「送り」と夜7時の「迎え」は、基本、ひとりで受け持つ。
「仕事をするのも、子どもを産んだのも、早く復帰したのも、自分がやりたいと言ってやっていること。私のワガママだと思っているので、会社の人にも主人にも母にも、それまでの生活スタイルを変えてほしくない。私のワガママに巻き込みたくないのです」
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