オリジナリティを求められる課題テスト
では、具体的に授業の課題と試験内容について説明してみましょう。
一つ目は、「Chinese Culture: Conflicts and Continuities」という中国文化についての授業です。
中間は試験ではなく7ページのペーパーでした。課題は、「それまでに授業で扱ったテーマを基に、中国の時事問題を分析しなさい」というものでした。私は、中国の教育と試験の関連を、孔子の時代から現代にわたって、「儒教道徳」「知識」「創造力」の3つの価値に分けて、歴史的流れの中でどのように現代の中国の大学入試の試験制度はとらえられるか、ということについて書きました。
参考までに、成績と先生のコメントを公開します。
評価:B+
A decent effort here. Your summary of these transitions between different stages in learning is interesting, and I like the way you break it into these different categories. At the same time, are these stages really separate? Confucius wouldn’t have completely separated morality and knowledge (as one had to know how to be moral, and much of that knowledge was located in texts). Likewise, the exam system did create a certain type of morality. 1) There was the notion that if one learned these texts one would embody their ideas and 2) the discipline to master all this knowledge was morally significant as well. Whether is worked out this way is a different question. One larger criticism is that there’s too much summary here. I would have liked to see more focus on your most original idea, namely the transition to a focus on creativity. Do you see any evidence of this happening? Or are there just complaints that it hasn’t happened. What would this new exam look like? The SAT may test a certain type of aptitude, but it certainly doesn’t test (or reward) creativity. So, this is a solid paper but there’s also room for more of your own creative thought here.
読まずにスクロールしたくなるほどの長さのコメントです。日本では、試験は出しっ放しで返ってくることはありませんでしたが、50人分のペーパーにこれだけ細かいコメントを書いていることからも、いかに教授が私たちの教育に熱意を注いでくださっているか、がわかります。
教授のコメントを要約すると、「よく頑張りました。テーマはまあまあ面白いけど、自分の道を突き進んじゃって事実を無視しちゃいましたね。さらに言わせてもらうと、要約部分が多くて君がどう考えたのかがよく見えないよ。まあ次、頑張れや、ほいB+」みたいな感じです。成績の分布ではちょうどクラスの真ん中でした。
教授のコメントにもあるとおり、私はついついリーディングの要約に近い文章を書いてしまいがちです。日本の大学受験での、問題文や自分の知識を基に、いかにそれを簡潔明快に要約できるか、ということを訓練したときの名残なのではないか、と自分の中で言い訳をしています。
日本の大学受験では、どの問題にも「模範解答」があったと思いますが、こちらの大学では、「模範解答」を書いたらアウトです。ただの要約には評価が与えられないどころか、盗作扱いされます。アカデミアの役割は、それまでに誰かが言ったことをもう一度繰り返すことではなく、誰もまだ言っていないことを、それまでの知見でサポートしながら、論理正しく人に説明できるようになることだからだと思います。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら