当然、やる気に満ちあふれたスバラシイ20代の若手社員も多いに違いないが、20代の生態はますますナゾに包まれていると言っていいだろう。
笑顔の絶えない人が嫌い、いつも前向きに生きている人が嫌い、自分の仕事に「誇り」を持っている人が嫌い。普通の日本人が無意識に無視している世の中の違和感と徹底的に対峙し、“戦う哲学者”の異名をとる中島義道氏。折り紙付きの人間嫌いでもある。
中島氏の哲学の根底にあるのは、「どうせ死んでしまう」というぞっとする理不尽だ。生きていくためには働かなくてはならないが、就活戦線や若手ビジネスパーソンが働く企業で求められるのは、「明るく、コミュニケーション能力が高い人」ばかり。「無用な人付き合いは避けたい」「無理に周りに合わせるのはもう嫌だ」という20代はどこに行けばいいのか。「どうせ死んでしまう」のに、どうして嫌な思いをしてまで働かなければならないのか。中島氏に聞いた。
――日本の会社についてどう思いますか。
私はアルバイト以外に一般企業で働いたことは1回もありませんが、すごくわがままなので、どこの企業でも勤まらないでしょう。私が日本社会で特に嫌いなのは、会社というものが家族のように丸抱え式になっていることです。私は大部屋で働くだけで嫌ですよ。教授は研究室が与えられているので、ずっと鍵を閉めて、そこで寝転がっていることもできた。ノックされたって、開けないかぎり、いないことになっているのでよかった。
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