まずは自己啓発本を捨てよう ”戦う哲学者”中島義道氏に聞く(下)

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「イマドキの20代が何を考えているのかわからない」。ため息混じりでつぶやく先輩方をどの職場でもよく見かける。世代間ギャップの議論は今に始まったことではないが、「ゆとり世代」と言われる若手社員が特にわからない、と悩む人は多いようだ。2012年のHR総合調査研究所の調査によれば、企業の人事担当者が持つゆとり世代への印象は、6割が「受け身」、4割が「精神的に弱い」と答えている。積極的に動かず、傷つきやすいと思っている先輩社員が多いということだ。
当然、やる気に満ちあふれたスバラシイ20代の若手社員も多いに違いないが、20代の生態はますますナゾに包まれていると言っていいだろう。
そこでこの連載では、東洋経済の次世代を担う20代記者が集結し、イマドキの20代に関係するトピックを、いろいろな角度から取り上げてみようと思う。先輩方が20代を知るキッカケと、20代の気持ちを代弁していきたい。先輩、20代のこと、どう思いますか?

”戦う哲学者”中島義道氏のインタビュー(上)「今の若者はプライドが高すぎる」はこちらから

昔はとても暗くて生きやすい時代だった

――そもそも働きたくない人はどうすればよいのでしょうか。

働きたくない人は、実はほとんどいないと思いますね。働かず、朝から晩まで寝ていても、遊んでいても、面白くないもん。ただ、若い人にとっては職場の人間関係が大変なんですよ。そして、今の若い人は人間関係に対するスキルを磨いていないから、たちまちくたびれてしまい、会社を辞めてしまう。

私たちの時代は、とても暗い時代で生きやすかった。ほとんどの人がしたいことができませんでした。大学に行けた人は当時2割くらいでしょうね。1965年に東大に入ったのですが、授業料が月に1000円。それすら払えない人もいて、ほとんどの者はすごく貧しかった。夏には白いワイシャツと黒いズボンで3カ月通し、冬でもオーバーを着られないという学生もいました。まだ炭鉱事故があったし、東北では飢饉があって、貧乏ゆえの悲惨な事件がたくさんありました。

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