まずは自己啓発本を捨てよう ”戦う哲学者”中島義道氏に聞く(下)

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100万人以上の引きこもりは社会への抵抗

ところが、今は中学や高校の段階であきらめることができずに、こういう現実的なコミュニケーション能力を学んでこなかった人がかなりいます。これは40歳からは学べません。しかられて鍛えられたことがないから、他人の顔色も読めず、今の雰囲気もわからない。バイトをしても勤まらない。ある青年は「店長に敬語を使いなさい」と言われると、「あなたも私に敬語を使いなさい!」と答えて、怒鳴られ、どうしていかわからなくて泣く。新入社員に対して上司がちょっと怒るとすぐ辞めてしまう、ということもよく言われています。

こうした現象はその人たちの責任ではなく、社会全体の責任かもしれない。私は100万人を軽く超える人数の引きこもりが家で寝ているというのは、こういう社会に対する「どうしてくれるんだ!」という抵抗だと思います。豊かになるとこうなるし、豊かじゃないときにはそれなりの不満があるし、つまりどうやってもダメなんですけれどね。

――迷える若い人が講演会や自己啓発本などから学べることはありますか。

私は他人の意見は何も参考にならないと思っている。各人それぞれ違うから。だから、わざわざそんなところによく行くなぁと思っています(笑)。講演会に行ってもしょうがないじゃないですか、他人のことなんだから。他人はちらっと参考にするくらいはいいけれども、自分に何の適性があるかは、自分自身でしか決められませんよ。

(撮影:風間 仁一郎)

長谷川 愛 東洋経済 記者
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