日本人はどうやって日本人になるのだろうか? そんな誰もが意識したことがないことを、グローバル化という視点でとらえていくとどうなるだろうか? 21世紀のグローバル化が私たちに突きつけている問題は、国際標準語(英語)を話す国際人になることではない。日本人という確固たるアイデンティティを持って、世界を舞台に活躍できる人材になることだ。
しかし残念ながら、日本で日本人の両親から生まれ、日本の教育を受けて育つと、真の日本人にならない。一人娘をアメリカと中国の教育で育てたジャーナリストが、その経験を基に、日本人とは何かを問いかける。
ある女子学生からのメール
この連載を始めて、今日までさまざまな反響があった。なかでも、「グローバルエリートは見た!」のムーギー・キムさんほどではないが、罵詈雑言、中傷の嵐で、ネトウヨの皆さんから「深く愛されてしまった」ことは、本当に貴重な体験だった。
ただ、それ以上に貴重だったのは、たとえば、アメリカのリベラルアーツカレッジに留学中の女子学生から、次のようなメールをもらったことだ。
以下、要約して紹介してみたい。
"What makes you Japanese?" "What does it mean to be Japanese?" アメリカでリベラルアーツ教育を受ける中で私はこの質問に初めてぶつかり、まだ答えは出ていません。
大学の哲学などのクラスで国とは何か、アイデンティティとは何か、などさまざまに学ぶ中、"What makes you Japanese"と聞かれ、答えられない自分に気づきました。日本社会にいると、〈日本人〉や〈日本社会〉が当たり前になってしまい、このような問いかけをする機会はほとんどありません。なので、連載のテーマとしてこの質問・問題提起をされたことは、非常に重要で意味があることだと感じています。
記事の中で「真の日本人」という言葉を使われていますが、「真の日本人」とは、“真に国際社会で日本人として生きていく人”といったニュアンスで使っておられるのではと、第3回目までの記事を読んで感じました。“グローバル社会で日本人として生きていくためには”、といった文脈で記事を書かれていると思うので、それを“日本社会で日本人として……”の文脈で読む人がいると、誤解や批判はある意味当然なのかな、と思います。そしてその「日本社会で……」の文脈で読むマインドセットの人が、残念ながらまだ日本人の大半なのかな、と感じます。
私が書いたことの真意を、ここまで理解してくれたことに感激して、思わず、返信メールを出した。なぜなら、彼女はさらに、次のように私が言いたいことを指摘してくれたからだ。
ただ、「異文化に対する知識・理解」だけでは、「日本に対する健全な愛国心、郷土愛」をつくるのに不十分では、と思いました。
異文化に対する知識は、本や教科書、さらにはネットで簡単に得られます。しかし、そうやって得た知識のどれほどが実際に身に付いているでしょうか。また、異文化に対する理解も、学校の授業や本、ネットで得ることが可能です。少なくとも、表層上は理解できると思います。しかし、「日本に対する健全な愛国心、郷土愛」を築くには、〈異文化に実際に触れ、体験すること〉が大事だと思います。
「異文化に対する知識・理解」も大事ですが、〈異文化に触れること〉や〈異文化の中に身を置くこと〉が、自国の文化を再認識したり、健全な郷土愛を築くうえで最重要なのではないかと思います。
私も、ネトウヨの人ほど英語が使えるようになり英語で他国の人と議論すれば、2chで叫び続けるよりもずっと価値があるのではないかと思います。またネトウヨの人ほど、異文化に対する知識はあるものの、実際に異文化に身を置いたことはなく、頭でっかちで語る傾向があるように感じます。
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