というわけで、今回は、このメールをくれた女子学生が学んでいるリベラルアーツカレッジについて書いてみたい。というより、そこで行われるリベラルアーツ教育が何かということを書いてみたい。
というのは、インターナショナルスクールで教育を受けることの延長線上には、選択肢のひとつとしてリベラルアーツカレッジへの進学があり、また、リベラルアーツ教育はグローバル人材をつくるための基礎教育でもあるからだ。学生たちは、リベラルアーツ教育を通して自身のアイデンティティを確立していく。
一般教養とリベラルアーツは別物だ
この「東洋経済オンライン」でも、これまでリベラルアーツカレッジが何度か取り上げられている。
しかし、その取り上げ方は、私に言わせてもらうと、中途半端だ。たとえばまず、ハーバードなどの名門大学と比べると、日本での知名度が低いせいか、「知られざる一流大学」というような表現でひとくくりにされている。また、その教育の中身は、日本の大学で行われている一般教養と同じようなものと解釈されている。さらに、リベラルアーツカレッジの最大の特長は少人数クラスにあり、そのため教育の密度が濃いというように言われている。
そしてここに、最近では、NHK大河ドラマ「八重の桜」のヒロイン新島八重の夫で同志社大学の創設者の新島襄が、リベラルアーツカレッジの名門Amherst College(アマースト・カレッジ)の最初の日本人卒業生だというエピソードが添えられて、日本でのリベラルアーツカレッジのイメージが出来上がっている。
しかし、このような見方はみな的外れで、リベラルアーツの本質を語っていない。リベラルアーツは、「一般教養」と言ってもいいが、日本の大学の一般教養とはまったく違うものだからだ。
では、どこがどう違うのだろうか?
これを説明するために、まず、欧米と日本では、そもそも学問のとらえ方自体が違うということから述べる必要がある。
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